小児の外傷の二週間以内の変化・歯のケガ
子供が歯をぶつけてから、二週間の間に何が起こっていくのか?
春になり、行動が活発になることで、歯の外傷が増える時期になってきました。
小児の患者さんにて、保護者の方からよくいただく質問が、「今後どうなっていきますか。」です。
外傷の治癒カレンダー
外傷の治癒カレンダーとしましては、
受傷一時間後
→歯の外傷では唇をぶつけることも多いので、唇が腫れてきて、急性炎症が始まります。保護者の方としては、子供の外傷でびっくりした後、さらにびっくりする段階です。
たまたま近所にいらしたり、通っていらっしゃる幼稚園・保育園が近隣の方は受傷直後でいらっしゃることも多いですが、概ね、受傷から数時間で歯科医院に受診される方が多い印象です。
数時間経つと、止血してくれていることも多いです。
この受診までの間には、止血や(もし歯の脱落(ぶつけて抜けてしまう)があれば)保存(後で触れます)をしていただくと良いと思います。
止血を試みて、子供が傷口を触れられることに痛がってしまう場合は、深い傷でなければ、お洋服が汚れないように気をつけて、無理に止血せずに、そのまま歯科医院にきていただくのも良いと思います。ダラダラ出血している場合は、子供本人も動揺しているため、落ち着かせて圧迫止血してあげると良いですね。
受傷から1日目(当日)~2日目
◾️受傷から1日目(当日)~2日目では、歯肉から出血が見られます。ぶつけた歯の周りの歯肉からも出血します。先述のように唇の腫れが起こります。また、早ければ歯の変色が起こります。
ぶつけた部分の皮下出血(青あざのようになる)もみえ始めます。
陥入(歯茎の中に歯がめり込んでしまうこと)している歯があれば、動揺が増してきます。
また、軽度の発熱をする小児もいます。
脱臼している歯があれば、このタイミングで整復・固定を行うことが望ましいです。
3日目
◾️3日目になると、軟組織の最表層が治癒を開始します。
転位は整復しにくくなりますので、整復が難しい場合は矯正による整復を検討することになります。
一週間
◾️一週間経ちますと、粘膜・歯肉が治癒します。
軽度の打撲であれば、受傷直後の来院から一週間後の経過フォローで大きな変化がなく経過良好であれば、少し期間を空けて経過観察していくことになります。
しかし、傷が大きな場合は、傷口(創面)の感染が明瞭になり、異物がある場合や歯槽骨片への感染が明瞭化する時期でもあります。
陥入している乳歯がある場合は、陥入している部分の洗浄を継続します。
二週間後
◾️二週間後になりますと、動揺がのこる歯にはレントゲン上で歯根破折や歯槽骨吸収が確認できることもあります。
この頃、陥入している乳歯がふたたび萌え始めることもあります。
というようなことが、受傷から二週間の間に目まぐるしく推移していきます。
3週間後以降は長くなるため、次回に掲載します。
余談ですが、私自身、先日転んで左顎から左下2辺りを打撲し、皮膚の内出血と左下2の歯肉溝出血を経験しました。パノラマレントゲンを撮影し、下顎骨に骨折がないこと、デンタルX線レントゲンを撮影し、歯根破折がないことは確認しましたが、外傷はいつ起こるかわからないので、気をつけなければいけないなと改めて感じました