インプラントの歴史
こんにちは。歯科医師の新熊志野です。
一般的にインプラントとは骨折やリウマチなどの治療において骨を固定し、補強することを目的として生体内部に埋め込まれる器具の総称です。歯科においては失われた歯根の代替として顎の骨に埋め込む人工の歯根をデンタルインプラントと呼びます。
インプラントは最近の治療なイメージはありませんか?意外とその歴史は古いです。
歯科におけるインプラントは意外と歴史は古く、5500年前のエジプトまで遡ります。
ヨーロッパで鉄製のインプラントが埋まっている古代ローマ時代の人骨が発見されたことが、論文誌「NATURE」に報告されています。
1900年の頭、骨内に埋入したインプラントを土台にして入れ歯を入れる術式が報告されています。
その後もさまざまな治療術式が考案されてきましたが長期的な安定を得るには至らず現在の治療スタイルを獲得するには1960年代までかかりました。
1952年、スウェーデンのブローネマルク氏が骨内に埋め込まれたインプラント体が光学顕微鏡レベルで骨と接触する現象を発見し、そのことをオッセオインテグレーション(osseointegration; osseo =骨とintegration=統合)と定義付けました。
インプラント治療はこの原理に基づき、顎骨に埋入されたインプラントが感染や拒絶反応を起こすなく噛む力に耐えうるという概念の上に成り立っている治療法なのです。