• 歯ぎしりとストレスについて

    投稿者:clover

    こんにちは!歯科医師の渡辺です 😀

    今回の矯正セミナーでは咬合について主に学んできました。

    座学でそれぞれの歯の役割、歯ぎしりについて学び、実習もありました。
    自分自身が歯ぎしりをしているか調べられるマウスピースを作って、
    実際にはめてみて、自分の噛み合わせを咬合器につけて診断をしました。

     難しいことも多いですが、できるだけ日常の治療にリンクさせていきたいです。

     

     歯ぎしりの自覚 


    皆さんは自分が歯ぎしりをしていると指摘されたことはありますか?
    もしくは自分の歯ぎしりの音が聞こえて目が覚めるなど、
    自覚症状がある方もいらっしゃるかもしれません。

     

     またギリギリ音が鳴っていないから歯ぎしりをしていない
    と言うわけではありません。

     

     朝起きた時に顎周りが疲れていることはありませんか?
    私自身も疲れが溜まっている時は
    起床時に食いしばった状態で目覚める時があります。

     

    覚醒しながら力の限り噛み締めていて我ながら驚きます笑
    自分が歯軋りをしているかわかる装置として
    ブラックチェッカーというもの
    があります。

     

    ブラックチェッカーとは


    自分のマウスピースをつくり、夜寝ている間に装着します。
    朝起きてマウスピースを外すと
    噛み合って擦れたところは色が抜ける仕組みです。

     

     今回のセミナーで私も自分のものを作ってみました。

     

     私のブラックスチェッカーはこんな感じです。
    ブラックチェッカー 歯軋りチェック マウスピース

     

    ちなみに人から歯軋りを指摘されたことはありません!笑

     

     自分の自覚している以上に色が抜けていて、驚きました!

    しっかり歯ぎしりしている証拠ですね。

     

    骨格形態の分析


    またこの日は顎関節の動きの記録もとりました。
    キャディアックスという装置を使って骨格形態を分析し、
    下顎の動きを流れで把握することができます。
     口を開閉したり、左右に動かして下顎頭の動きを記録しました。
    その動き方の波形はパソコンに表示されます。

    骨格形成の分析 顎関節の動き キャディアックス

    顎の開き方に左右差がないか、クリック音 (関節円板を乗り越える音)
    がどのタイミングで鳴るかなどを見ます。

     

     私自身顎関節症状として、
    顎がカクカク鳴っていたので自覚はあったのですが、
    改めて図として見ることができて面白かったです。

     

     最後には自分の模型を咬合器にマウントしました。

     

     自分の歯並びの模型をとるのは久しぶりで改めて見ると、
    気になるポイントは多いですね。

     

     つい忘れがちですが、ナイトガード(歯軋りから守ってくれるマウスピース)
    しっかり装着していきたいと思います!

     

     歯ぎしりについて 


    グライディング
     上下の歯をギリギリとすり合わせること。
    クレンチング 無意識に歯を食いしばったり、力をこめること。
    タッピング 上下の歯をカチカチとならすこと。

     

    皆さんはどれに当てはまりそうですか
     噛み締めた時にかかる力60Kg (成人男性20-30歳は奥歯の平均)ですが、
    最大で約
    100Kgも力がかかる時があるそうです!!

     

     これだけ力がかかれば、いくら硬い歯でも削れていきそうですね・・・。

     

     場合によっては割れてしまうことも少なくはありません。
     歯が割れてしまうと場所にもよりますが、抜歯になる可能性が高くなります。

     

     またそれだけの力をかけるために収縮している筋肉も疲れて、
    こったり筋肉痛にもなります。

     

     歯ぎしりとストレス


    歯ぎしりは意図して行なっているものではなく、無意識下にやっていることがほとんどです。
    それでは歯ぎしりは病気なのでしょうか?

    実は歯ぎしりはストレス解消法の一つで、それ自体を止めることは難しいです。
     歯ぎしり、食いしばりから派生する問題として、顎関節症があります。

     顎周りが痛くなったり、お口が開きにくくなったりなど症状が当てはまります。
    顎関節症について 顎関節症で悩んでいる方には

     ・日中はなるべく力を抜く

    ・舌先がどこにあるか意識する

    (食いしばっている時の多くは舌先が下顎の前歯についていることが多いです。
    上顎前歯と口蓋のあたりにあることが理想です。
    )

    ・ナイトガードをする

     上記のようなお話しをさせていただくことが多いです。

     また場合によっては歯並びや咬み合わせの関係が悪く、顎関節症状が出る方もいらっしゃいます。

     先ほどもお伝えしたように歯ぎしりはストレス解消法の一つ、人間には必要なことです。

     つまり正しい噛み合わせで、
    下顎を誘導してあげることで歯や顎に負担をかけないようにすることがポイントになります。

     正しい噛み合わせにするには矯正治療をするか、被せ物など補綴物で対応することになります。

     歯の並び方にガタガタが大きくなくても、
    噛み合わせが深かったり逆に開口気味だったりすると顎関節へ負担がかかっていることがあります。

    今回のセミナーでは自分の口腔内のことをよく知ることができました。
     私はクレンチングしかしてないと思っていましたが、
    グライディングもしていて、特に右側に大きくふれていました。

     長く自分の歯でご飯を食べるためにナイトガードも頑張ってつけていきたいと思います!

    自分がどのような状態にあるのか気になる方はぜひ一度クリニックまでお越しください。
    ご予約はこちらからぜひお待ちしております! 😀 

     

     参考文献 厚生労働省 e-ヘルスネット 歯ぎしり 日本顎関節症学会
    顎関節症治療の指針2018

  • 口内炎と口腔癌

    投稿者:clover

    こんにちは!歯科医師の市川です 😀

    暑い日が続いておりますが、みなさんいかかがお過ごしでしょうか。
    私は夏になると口の中に口内炎ができやすくなります。
    夏バテによる免疫力の低下と栄養不足が原因だと思われます。

    野菜や果物などのビタミンもしっかりとって暑い夏を乗り切ろうと思います。

    そこで今回は口内炎についてお話したいと思います。
    また近年、口内炎と口腔癌の違いについて注目されることが増えたので
    そちらについても説明していきたいと思います。

     

    ☆口内炎とは

     

    口内炎は口の中の粘膜に起こる炎症のことです。
    口内炎にはいくつか種類があり、原因や特徴が少し異なります。

    最もよく見られるのは、「アフタ性口内炎」というものです。

    口内炎 アフタ性口内炎 口内炎歯医者

    ・アフタ性口内炎

     

    はっきりとした原因はわかっていませんが、
    過労、精神的ストレス、胃腸障害、ビタミン不足などが考えられています。

    見た目の特徴としては、白い円形のくぼみができ、
    その周囲は少し赤みを帯びています。

    大きさは直径2~10㎜程です。

     

    ・カタル性口内炎

     

    矯正器具や入れ歯による粘膜への物理的刺激、
    熱い飲み物や食べ物による火傷などが原因でできます。

     

    ・ウイルス性口内炎

     

    単純性ヘルペスウイルスの感染によって引き起こされます。

     

    ・カンジダ性口内炎

     

    口の中に常在しているカンジダ菌が過剰に増えることによって引き起こされます。
    口内炎の治療法としては、

    副腎皮質ステロイド薬含有の軟膏(ex.アフタゾロン)、
    貼付薬(ex.アフタッチ)、
    噴霧薬、
    レーザー
    などがあります。

    また、ウイルス性の場合は

    抗ウイルス薬、

    カンジダ性の場合は

    抗真菌薬が用いられます。

     

    ☆口腔癌

     

    口腔癌は口腔の粘膜から発生した悪性腫瘍のことで、以下の癌の総称を言います。

     

    ・舌癌

     

    舌の裏側や縁にできやすく、舌表面にはあまり見られません。
    口腔癌の中で最も多くを占めています。

    口腔癌 舌癌 舌の裏側

    ・歯肉癌

     

    上下の歯茎にできます。
    舌癌に次いで二番目に多いです。

     

    ・頬粘膜癌

     

    頬の内側の粘膜にできます。

     

    ・口腔底癌

     

    舌と舌の裏側の歯茎の間にあるくぼみの部分が口腔底と呼ばれるところで、
    そこにできます。

    口腔底癌 口腔癌 舌と舌の裏

    ・口唇癌

     

     

    唇にできます。
    下唇にできることが多いです。

    口腔癌の原因は不明とされていますが、

    喫煙、
    飲酒、
    ウイルス感染、
    機械的刺激(合ってない入れ歯、被せ物、詰め物などによる粘膜への刺激)

    などが危険因子として挙げられます。

    治療法は主に外科療法ですが、放射線治療や化学療法も用いられており、
    それぞれ組み合わせて治療することもあります。

    早期癌であれば外科療法や放射線治療、
    進行癌であれば外科療法→術後に化学放射線治療、
    分子標的薬併用放射線療法を行うのが一般的です。

     

    ☆口内炎と口腔癌の違い

     

    ①口内炎の場合は数日~10日程で自然に治ります。
    2週間以上経っても自然に治らない場合、口腔癌や他の粘膜疾患の可能性があります。

    ②口内炎は食べ物などが触れるとヒリヒリとした痛みがありますが、
    口腔癌の初期は痛みがありません。

    ③口内炎は潰瘍といって白い円形のくぼみができ、その周囲が赤みを帯びている状態になります。
    健康な粘膜との境目が明瞭です。
    しかし、口腔癌の場合は凸凹としたしこりがあったり、出血、健康な粘膜との境目が不明瞭だったりします。

     

    いかがだったでしょうか。
    口内炎と口腔癌の違いについて少しでも知っておくことにより、
    早期発見・早期治療につながります。

    しかし自分ではなかなか判断が難しいかと思います。

    少しでもわからないことや不安なことがあれば、気軽にご相談ください 😀

     

     😀 ご予約はこちらからどうぞ!

    〈参考文献〉・第4版SIMPLE TEXT口腔外科の疾患と治療 永末書店・口腔内科学 永末書店
    ・口腔がん:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)

  • 書籍の紹介

    投稿者:clover

     こんにちは。歯科医師の津野田です。本日は歯科の専門書籍を一冊ご紹介します。今回ご紹介するのは『解剖学的形態を維持した根管形成・拡大 著:牛窪敏博』です。

     この書籍は歯内療法において今日取り入れられているNiTiロータリーファイルを用いた治療法のテクニックについて、その器具の特徴を踏まえて丁寧に解説してくれるものです。

     この書籍では先にNiTiロータリーファイルの特性について詳しく説明されており、その他具体的な臨床症例に起こりうる事象にそって使用上のポイントを解説されています。個人的にはNiTiファイルの特徴を活かした具体的な操作方法の解説が非常にわかりやすく、実際の臨床でもすぐに活かせることばかりで非常に興味深いと思いました。

     当院でも導入しているNiTiロータリーファイルですがその特徴や効果的な使用法については個人的にやや難しいと思われる点も多々ありました。使用法を誤れば治療効率を下げるだけでなく、治療の成功率や重大なミスを招かねません。それらを避けるためにも歯科で使用される最新の器具や道具を上手に使いこなすことは必須です。そのための手助けとなりうる一冊です。

  • 「健診」と「検診」

    投稿者:clover

    こんにちは!
    歯科医師の市川です 😀
    6月上旬に保育健診に行ってきました。
    みんなとても良い子で可愛かったので癒されました!
    健診では合計63人の子供たちのお口の中を見せてもらいました。
    まだ歯が生えていない子、歯が抜けて大人の歯が生え始めている子がいたりとさまざまでした。

    中には虫歯になってしまっている子もいました 😯

    悪くならないうちに歯医者さんに診てもらい、早期発見・早期治療がとても大切になります。

    そこで今回のブログでは、健診・検診についての重要性についてお話していこうと思います。

    「けんしん」には「健診」と「検診」の2種類があります。
    それぞれ字が違いますが、目的も異なります。

     

    歯科検診 歯科健診 子供の歯

    ☆健診

    ・健診とは健康状態を確認するために行われます。
    今回私が行った保育健診や学校健診がここに当てはまります。

    日本では1歳6か月児、3歳児、小・中・高生の学校健診は義務化されていますが、
    成人は義務化されていません。
    (※ただし、酸などの化学物質を扱う職種は歯科健診が義務づけられています。)

    最近ニュースで耳にしている方もいらっしゃると思いますが、
    政府が2022年6月に「国民皆歯科健診制度」の導入を検討する方針を発表しました。

    この制度は、年齢問わず全国民を対象に歯科健診を義務づけるというものです。
    2025年導入を目標にしているそうです。

    ☆検診

    特定の疾患の早期発見・早期治療を目的に行われます。
    歯科医院での定期検診が当てはまります

    虫歯や歯周病の検査、歯磨き指導、クリーニングなどを行います。
    お口の中の状況によって異なりますが、
    基本的に3か月に1回のペースで受診するのが理想です。

    2022年日本歯科医師会の調査によると、
    15歳~79歳の男女1万人のうち
    半数以上が歯科医院での定期受診をしていないという結果が出ているそうです。

    また、日本は他国に比べ定期受診率が低く、
    歯の健康に対する意識が低いという残念な結果が出ています。

    健診と検診についてお話しましたが、共通することは、
    どちらもお口の健康を守るために行われているということです。

     

    ☆健診・検診の重要性

    皆さんはお口の健康と全身の健康が関係しているということはご存じでしょうか?
    国民病で成人の8割がかかっている歯周病は、多くの全身疾患と関係しています。

    また、虫歯や歯周病によって歯を失うとお口の機能が低下し、
    楽しい食事や会話が満足にできないだけでなく、
    要介護状態や認知症に陥ってしまいます。

    これだけでもお口の健康がいかに重要かがわかるかと思います。

    ☆健診・検診のメリット

    健診・検診を行うことで、以下のようなメリットがあります。

    ① 歯科疾患のみならず、全身疾患の予防につながる歯科の二大疾患は、虫歯と歯周病です。

    先程の健診・検診の重要性の内容と重複してしまいますが、歯周病は
    糖尿病、呼吸器疾患、動脈硬化、脳卒中、心臓病、リウマチ、早期出産・低体重児出産
    などの全身疾患と関連があります。

    また、歯の喪失は要介護状態や認知症に陥るリスクがあります。

    ② 医療費の削減につながるお口の健康を維持することにより、
    全身の健康にもつながることから歯科だけでなく医科の費用の削減にもなります。

    香川県歯科医師会による調査では、40歳以上を対象に、歯が0~4本の人は、
    歯が20本以上ある人と比べ年間医療費が19万円高いという結果が出ています。

    ③ 健康寿命の延伸につながる健康寿命とは、
    日常生活を制限されることなく健康に生活を送ることのできる期間のことをいいます。

    愛知老年学的評価研究プロジェクトによる調査では、65歳以上の住民で、歯が19本以下の人は、
    歯が20本以上ある人に比べ、1.2倍要介護状態になりやすいという結果がでています。

    (※永久歯は上下左右の親知らず4本全て生えていれば、全部で32本になります。)よって、
    残っている歯が多ければ多いほど健康寿命は長くなります。

    いかがだったでしょうか。子供の頃から歯は大切なものであると認識していくことがとても大切だと思います。
    自分の健康を守るため、また、子供たちの手本となるためにも歯科健診・検診を受けてみてください。

     

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    私たち歯科医師が全力でサポートします!

    〈参考文献〉
    ・第2版 ザ・ペリオドントロジー 永末書店
    ・8020推進財団 (8020zaidan.or.jp)
    ・歯科医師会の発行物|高松市歯科医師会 (418takamatu.com)
    ・全身とのかかわり – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020 (jda.or.jp