• 「抜いてインプラントにしたほうがいい」は正解?

    投稿者:clover

    こんにちは 😀
    歯科医師の津野田です。
    本日は患者さんから頂いたご質問にお答えしようと思います。

    先日来院された30代の患者さんから
    「他院で歯の変色が気になると相談したら、

    その歯を抜いてインプラントにしたほうがいい

    と言われたのですが…」とご相談をいただきました。

    その歯は抜髄した歯、わかりやすくいうと歯の内部の神経を抜いた歯です。
    しかし虫歯になっているわけでもなく歯周病の進行もない健康な歯でした。

    私は医学的に問題のないその歯を抜いてしまう必要性はないと判断し、
    患者さんにその旨をお伝えしました。

     

    抜髄した歯の変色について

    ではなぜ今回の患者様は抜歯してインプラントを入れることを勧められたのでしょう。

    理由は見た目が良くないからです

    というのも抜髄した歯というのは内部の血流や神経などが全くなくなっているため
    歯に栄養素が行き届かなくなっており、本来の色を保てずに歯が変色してしまうのです。

    その多くは薄い灰色茶色のような暗い色になります。
    故に他の歯と並ぶと一本だけ違う色の歯になってしまうため目立ってしまうのです。

     

    抜髄した歯の特徴とは

    抜髄した歯についてもう少し詳しくお話しすると、
    抜髄した歯というのは先程申し上げたように歯に栄養素が行き届いておりません。

    したがって神経がある歯と比較すると「脆く」なっているのです。

    具体的には歯が破折する危険性が高くなります。
    その破折が歯の根っこに生じてしまうと
    基本的には抜歯をせざるを得なくなってしますのです 😥

     

    抜歯は必要か

    では変色した歯は抜いた方がいいのかという件ですが、その必要はありません。
    その他の要因(虫歯や歯周病、破折、矯正での便宜抜歯など)があれば別ですが、
    変色だけを理由に抜歯をするのは適切ではありません。

    ご自身の歯を問題なく使えるうちはその歯を大事にして欲しいですし、
    そのための処置に徹することが本来の歯科治療であると考えます。

     

    最善の治療は

    せっかく治療した歯を駄目にしてしまわないように予防しなければなりません。
    そのためには歯が割れないように物理的に保護する必要があります。
    これに一番適しているのは「被せ物」を入れることです。

    これは歯全体を覆う冠のような形をした被せ物(補綴物)です。
    歯全体を覆うことにより咬合などの力が加わることによる
    破折を防ぐ効果が期待されています。

    種類は大きく分けると金属製のものやセラミックでできたものなどがあります。

    歯の被せ物 セラミックの歯 保険の被せ物神経の無い歯 抜髄後 歯の変色

    それでも見た目が気になる歯をなんとかしたいここまでお話しした抜髄歯の性質と色味などの見た目の点からすると
    今回の場合も「被せ物」を入れることをお勧めします。

    より本物の歯に近い見た目を追求される方にもご満足いただけるものもご用意しています。

    費用も様々で、保険で適応されるものと自費負担のものとがあります。

    是非気軽に御相談ください。
    ご予約はこちらからどうぞ! 😀

  • 歯科治療中の偶発症について

    投稿者:clover

    こんにちは。歯科医師の津野田です 😀

    本日は歯科治療中の偶発症について、
    特にアナフィラキシーショックについてのお話をします。

     

     

    偶発症とは

    医療上の検査や治療の際に偶発的におきる主に良くない事象のことです。

    では、具体的にどんなことが起きるのか、それがなぜ起きるのかを解説した上で、
    実際に起こった場合にどう対応すべきかについてご説明します。

     

    アナフィラキシーショックとは

    まず、アナフィラキシーショックというのは、
    薬物などのアレルギー反応のうちでも特に症状の発生が急速に進行し、
    かつ発生すれば重篤な症状をもたらすのが特徴的です。

    原因となる薬剤は歯科領域ですと
    抗生物質や鎮痛剤、ヨード製剤、局所麻酔、フッ化物などが挙げられます。
    歯科治療 麻酔 アナフィラキシーアレルゲン 抗生物質 麻酔

    そうした原因となるアレルゲン(起因物質)が体内に入ったあと
    数分以内に症状が出ます。

     

    具体的にどんな症状があるのか?

    次に具体的な症状について説明しますが、
    これは非常に多彩でであるためここでは時系列ごとに紹介します。

    まず初めに気分不快、口唇や手足の痺れ感、悪心、めまい、耳鳴りなどを自覚します。

    次いでせき、くしゃみ、皮膚の痒みや紅潮、蕁麻疹などが生じます。

    さらに時間が経過すると顔面の蒼白、喘鳴や呼吸困難(気道が細くなるため)、
    血圧低下、頻脈などが生じ、最終的には意識消失、呼吸停止、心停止となってしまいます。

    上記に挙げた通り、アナフィラキシーは重篤な症状が出るため、
    対応が遅れてしまうと、死亡の危険性が伴います。

    故に迅速な判断と対応が必要になってきます。

     

    アナフィラキシー発生時の対処法

    症状が出たらここからは、
    実際にアナフィラキシーが生じた場合の対処法や重要なポイントをお話しします。

    まず初期の症状が出たた迅速にバイタルサインをチェックし、
    血圧の急激な変化などがないかを確認します。

    そして、患者様を横に寝かせて足を高い位置におきます。

    加えて酸素の投与、気道の確保をします。

    またアナフィラキシーの場合にはエピネフリンという薬剤を投与するのが効果的である為、
    当院では緊急用として常備しております。

    アナフィラキシーは気道付近に浮腫ができることで呼吸が困難になることがあるため
    そうした場合にはこうした薬剤の迅速な投与が重要になります。

    もちろんこうした対応をしている間に119番通報をしておくことが必須ですが、
    救急車が到着するまでにも症状が進行してしまう為にできる限り迅速な対応が求められます。

     

    未然に防ぐ為にも問診が大切です

    生じれば非常に重篤なアナフィラキシーですが、
    未然に防ぐことはできないのかというと、もちろん予防に努めることは可能です。

    そこで重要になるのは詳細な問診をすることです。
    具体的には患者様本人だけでなくご家族のアトピー性要素の有無の確認が重要になります。

    そうした問診で確認したアレルギー発症の既往に基づいて
    薬物の選択や使用には慎重に行います。

    また、同系統に分類される薬物にも注意が必要です。
    適切な対応が必要とされるアナフィラキシーですが、
    過度に心配して適切な容量の薬を投与できなければ、
    患者様にとってかえって苦痛になってしまいかねないため、
    正しい知識と行動が要されるのです。

     

    いかがっだったでしょうか?

    アナフィラキシー以外でも歯の事、お口の中の事で気になる事ありましたら
    何でもご相談ください!! 😀

     

    ご予約はこちらからどうぞ!

  • 非抜歯矯正の症例

    投稿者:clover

    こんにちは。歯科医師の鈴木志野です。

    今回はブラケット矯正の実症例をつかって当院で行っている非抜歯矯正を説明したいと思います。

    症例ケース

    年齢:50歳

    性別:男性

    主訴:上の前歯のガタガタが気になる

    診断:前歯の叢生 右側二級咬合 

    治療方法:ブラケット矯正

    治療期間:1年1ヶ月

    治療費用:773000円(矯正基本料+月の調整量+リテーナー費)

     

    初診時の状態です

     

    右上の前歯が内側に倒れて一本のみ反対咬合になっています。

    また上下共に歯列幅がせまくV字型弓といわれる状態です。

    また左の噛み合わせは正常ですが右の歯に関しては奥歯の噛み合わせが上の歯が半分ずつ前にでている二級咬合とよばれる状態です。

    この写真から分かる問題点は5つあります。

    右上の2番目が内側に倒れていて、3本の歯が重なりあって内側に閉じ込められている

    上下の歯が並んでいる歯列がV字型になっていること。きれいな歯並びは楕円形でU字型です。

    奥歯がすべて前に倒れている

    右側の奥歯の噛み合わせが一本分前にでている(これにより前歯のスペースがなくなり叢生が生じています。)

    写真ではわかりませんが、レントゲンで親知らずが4本ある状態

    患者さんの希望はできるだけ非抜歯での矯正したいとのことでした。

    一般的な矯正であれば抜歯矯正になりますが当院の矯正であれば上記の問題点を治療することで非抜歯で治すことが可能です。

    そこで4本の親知らずに関してはレントゲンにより傾いていること、また奥歯を奥に動かすときに引っかかってしまうのでお口で見えている歯は抜かずに親知らずのみ抜歯し矯正をスタートしました。

    矯正を初めて3カ月後

     

    矯正を初めて3ヶ月の写真になります。

    下の歯並びはこの段階でかなりきれいになったのがわかると思います。

    右上の2番目の歯は奥に閉じ込められていたためこの段階ではまだ内側にいます。

    上下歯列幅を広がっています。

    本来だと歯並びをよくすると前歯も前に出てしまうのですが、親知らずを抜いていて、かつ奥歯を奥に動かしているおかげで前歯は大きく前に出ず、全体的にバランス良く広がってくれました。

    矯正を初めて5カ月後

     

    矯正を始めて5ヶ月の写真になります。

    さらに2ヶ月たったお写真になります。

    上の前歯に隙間ができて歯がきれいに並んだことがわかると思います。

    上下別々にみると矯正前と比べて綺麗になりました。

    しかし矯正は見た目の問題点だけではなく上下の噛み合わせも大切です。

    この段階の残された問題は

    奥歯が噛んでいるのに関わらず上下の前歯に

    隙間がある

    上の歯の幅が左右でみると対象ではない

    右側の噛み合わせがまだ一本対二本で噛めていない

    そこでゴムメタルというワイヤーを使い上下の噛み合わせを左右で整え、噛むように調整していくことにしました。

    矯正を初めて7ヶ月後

     

    矯正を始めて7ヶ月の写真になります。

    ゴムメタルを使い始めて2ヶ月の写真です。

    前歯が噛めるようになりました。

    矯正前は左右の幅にズレがありましたが、バランスよく左右均等になりました。

    奥歯の噛み合わせも一本対二本で噛めていていい状態です。

    この状態でもいい状態ですがこの後さらに細かい修正をしていきます。

    矯正終了後

     

    矯正終了後の写真です。

    ワイヤーを外した状態になります。

     

    歯並びも噛み合わせもすごくきれいになり一年1ヶ月かかった矯正が終了しました。

    矯正前の叢生(ガタガタ)はとれ、奥歯の噛み合わせは一本対二本で噛めている一級(理想の噛み合わせ)です。

    最後は前歯の裏側に舌側ワイヤーをつけて、寝る時だけ使うリテーナーを使っていただくことになりました。


    いかがだったでしょうか?
    歯並びや噛み合わせでお悩みでしたら是非矯正相談にいらしてください!!
    矯正相談のご予約はお電話(044-933-8239)にて受け付けておりますので

    お待ちしております 😀 

    治療やクリーニングのご予約は24時間受付のこちらからどうぞ 😀 

  • 口腔機能発達不全症

    投稿者:clover

    こんにちは!歯科医師の市川です 😀

    突然ですが、みなさんは「口腔機能発達不全症」という言葉を聞いたことがありますか?

    あまり馴染みのない言葉なので知らない方がほとんどだと思います。

    今回は「口腔機能発達不全症」がどいったものなのか簡単にお話していこうと思います。

     

    ☆口腔機能発達不全症とは

     

    病気や障害がないにもかかわらず、食べたり、話したりするために必要な
    お口まわりの筋肉が十分に発達せず、正常に機能していない状態を指します。

    その状態を放置してしまうと、顎の成長が阻害されて歯並びや噛み合わせが悪くなったり、
    気道が狭くなり口呼吸(※鼻呼吸が正常な状態)になったり、
    十分に栄養を摂取できなかったりと全身に悪影響を及ぼします。

    顎の成長 口呼吸 噛み合わせ

    ☆チェックリスト

     

    「口腔機能発達不全症」のチェックリストは

    「食べる機能」
    「話す機能」
    「その他の機能」

    と3つの項目から診断していきます。

     

    ◎離乳完了前

     

    〈食べる機能〉
    ・哺乳に関して先天性歯(生まれた時から生えている歯や生後1か月以内に生えた歯)があるか、
    唇や歯槽(歯を支えている骨)の形態に異常があるか、
    舌小帯(舌の裏側にあるひだ)に異常があるか、
    乳首をしっかり口に含められるか、授乳時間が長すぎたり短すぎたりしないか、
    哺乳量・授乳回数が多すぎたり少なすぎたりムラがあるか

    ・離乳に関して首の据わりが確認できない、スプーンを舌で押し出す、離乳が進まない

    〈話す機能〉
    ・構音(発音)機能に関して安静時に口がポカンと開いているか

    〈その他の機能〉
    ・栄養(体格)に関して痩せまたは肥満であるか ※体重(g)と身長(㎝)で
    評価・その他に関して口まわりに過敏があるか

    ◎離乳完了後

     

    〈食べる機能〉
    ・咀嚼(噛む)に関して歯の生え変わりに遅れがあるか、
    歯列や噛み合わせの異常があるか、噛むのに影響する虫歯があるか、
    強く嚙みしめられない、噛む時間が長すぎたり短すぎたりしてないか、
    左右均等に噛めているか・嚥下(飲みこみ)に関して舌を前に突き出す癖がみられるか

    ・食行動に関して哺乳量・食べる量、回数が多すぎたり少なすぎたりとムラがあるか

    〈話す機能〉
    ・構音(発音)に関して発音に障害があるか、安静時に口がポカンと開いているか、
    口腔習癖(指しゃぶりや舌を前に突き出す等)があるか、
    舌小帯(舌の裏側にあるひだ)に異常があるか

    〈その他の機能〉
    ・栄養(体格)に関して痩せまたは肥満であるか ※体重(g)と身長(㎝)で評価

    ・その他に関して口呼吸があるか、扁桃腺が肥大していないか、
    寝ている時にいびきをかいているか

    〈口唇閉鎖力検査〉
    測定機器を使って口の閉じる力を測定。
    口を閉じる力 口唇閉鎖力検査
    「食べる機能」「話す機能」において2つ以上該当すると
    「口腔機能発達不全症」と診断されます。

    ☆治療
    上記のチェックリストを行い、こちらで診断させていただきます。
    歯並びや噛み合わせの異常があれば、矯正の説明やご希望があれば
    お写真やレントゲン写真などの資料どりをさせていただき、矯正検査を行います。

    また、舌や唇がうまく機能していない場合は、ガムを使ったトレーニングや
    口を閉じるトレーニングを行い、定期的に歯科医院で管理していきます。
    唇を閉じる ガムトレーニング 口腔機能発達不全症

    「口腔機能発達不全症」は食事・栄養面も密接に関連しています。

    当院では管理栄養士もおりますので、
    栄養指導や食生活についてわからないことがあれば対応することが可能です。
    予防歯科 管理栄養士のいる歯科

    いかがだったでしょうか。
    少しでも気になったり、わからないことがあれば気軽にご相談ください。

    ご予約は24時間受付のこちらからどうぞ!

    【参考文献】 ・document-220512-1.pdf (jads.jp)
    ・リットレメーターMedical|トレーニング|オーラルアカデミー (oral-academy.com)