顎関節症とは

歯に関するブログ 2023年07月24日(月)

こんにちは!

今回は顎関節症について歯科医師の市川先生と津野田先生より
お話しさせていただきたいと思います。
口を開けると痛い 口を大きく開ける 顎痛い

 

☆顎関節について

 

顎関節は耳の穴の前方にあり、下顎骨にある下顎頭という丸い突起が、
側頭骨(頭部の骨)にある下顎窩というくぼみにはまり込むような構造になっています。

そして、下顎頭と下顎窩の間には関節円板という軟骨のような組織があり、
顎を動かす際にクッションのような役割をしています。

 

☆顎関節症とは

 

顎が痛む、
口が開きにくい、
顎を動かすと音がする

といった症状がでる顎の疾患です。

顎の周りには関節、筋肉、靭帯など様々なものがあります。

したがってそれらのうちどこに痛みの原因があるのかを判断しなければなりません。

筋肉に損傷や炎症が生じており痛みが出ている場合、
顎を動かした時に咀嚼に関係する筋に痛みを感じる、
あるいはその部位を押すと痛みを感じることがあります。

これらは一種の筋肉痛の症状です。
こうした症状に対してはストレッチ療養などが有効とされます。
ただ筋肉の炎症が治れば症状が改善することが多いため、
大開口を避けるなど安静にしてもらうのに加えて、
ナイトガードを導入して経過をみることも多いです。

また、顎に痛みが出る原因の一つに
ストレスによる食いしばりや
歯軋りなどが由来していることもしばしばあります。

これに対しては歯と歯が接触する時間を意識的に無くしていくのが一番ですが、
一度食いしばりなどの癖がついてしまうと治すのはなかなか難しいです。

 

大きく分けると4タイプ

 

顎関節症には4つのタイプに分類されています。

・Ⅰ型:咀嚼筋痛障害
咀嚼筋という顎の筋肉の使いすぎ、いわゆる筋肉痛によっておきます。
こめかみあたりに痛みを生じます。

・Ⅱ型:顎関節痛障害
顎関節を覆っている関節包、関節靭帯の炎症や損傷によっておきます。
簡単に言うと、顎のねんざです。噛んだり、顎を動かしたり、耳の前方を押すと痛みを生じます。

・Ⅲ型:顎関節円板障害
関節円板の位置がずれたり、元に戻らなくなることによっておきます。
口を開けると「カクカク」「ポキポキ」という音がしたり、
口が開けづらくなります。

・Ⅳ型:変形性関節症
下顎の骨にある関節突起の変形によっておきます。
口の開け閉めの際に「シャリシャリ」と音がしたり、痛みを伴うこともあります。

 

☆原因

・ストレス→精神的緊張が筋肉の緊張につながります。
・歯ぎしり・食いしばり・習癖→頬杖、猫背、うつ伏せ寝、左右どちらかで噛むなど。
・噛み合わせ

 

☆症状

 

関節症状:・開閉口のしにくさ・開閉口時に顎関節音がするか
・顎が引っかかり開口しにくいか・あくびや食事中に頬や耳の前が痛むか

筋肉症状:・よく肩がこるか・首のあたりにコリや痛みを感じることがあるか
・頭痛がよくあるか・こめかみ、頬、後頭部が痛みやすいか
・耳鳴り、めまいがしやすいか

 

☆治療法

 

・安静にする→硬い食べ物を控えるなど。
・習癖の改善→日ごろの癖を直すように心がける必要があります。
・マッサージ→咬筋や側頭筋といった顎の筋肉を指で押しあてながらマッサージします。
・開口訓練→親指を上顎の前歯に当て、人差し指を下顎の前歯に当てて、
少しずつ力を加えながら上下の歯を押し上げるように口を開くようにします。
これを1日数回、1回につき10回程度行います。
マウスピース→上顎あるいは下顎に装着し、
嚙み合わせを均等に接するようにすることで顎の負担を軽くします。

当院ではマウスピースを保険適応で3000円ほどで作ることができます。

 

マウスピース(ナイトガード)って効果あるの?

 

就寝時に使用するマウスピースをナイトガードと呼んでいます。
先ほどお話した通り顎関節症の患者さんに対して導入されることの多い装置です。
ここではそのナイトガードについてご説明します。

まず、当院で使用しているナイトガードには大きく二種類あります。

ソフトタイプ
ハードタイプです。

これらは材質の硬さが異なり、適応も少し異なります。
最終的には主治医の先生のご判断によりますが、
一般的には夜間就寝中の歯軋りやそれによるはの咬耗が気になる程度であれば
ソフトタイプを導入されることもあります。

ただ、起床時に顎が痛いなどのいわゆる顎関節症と疑われる症状がある場合には
ソフトタイプではあまり効果がないと言われています。
その場合にはハードタイプのナイトガードを導入します。

その理由はいくつかあります。

ナイトガード ソフト 歯ぎしり 

↑ナイトガード(ソフトタイプ)

一つはソフトタイプを装着すると
筋肉にかえって力が加わってしまうといわれているからです。
ソフトタイプは咬むと少し凹みます。
この性質が反射的に食いしばりを引き起こしてしまうのです。

例えば固いお肉を咬むは自然と強く咬むと思います。
それと同じように就寝中も反射的に
ナイトガードを噛み締めてしまうということです。
二つ目は強度の点で顎の衝撃を弱めるには不十分であるとする見解です。

いずれにしてもソフトタイプの装置の導入は
顎関節症の患者さんには不向きといえそうです。

ナイトガード 食いしばり 歯ぎしり

↑ナイトガード(ハードタイプ)

また、ハードタイプは強く噛んでも凹んだり変形はしませんので
強度の点でソフトタイプより優れており、
上の歯と下の歯との間に1.5から2mmの距離が保たれます。
これが安静時の顎の位置に近く、筋肉の過緊張を抑えることができるという仕組みです。

一方ナイトガードを導入することにより、
開校などの咬合状態の変化や呼吸障害などの副作用の可能性も報告されています。

そのため、装着した後の経過やメンテナンスが重要になってきます。

 

※痛み止め

 

痛みなどの急性症状がある場合は処方することがあります。
▲治療を2週間継続しても症状が悪化する場合は、
高次医療機関にて精密検査をしてもらう必要があります。

いかがだったでしょうか。
日頃の生活習慣の積み重ねによって引き起こされることも多いので、
ぜひご自身の生活を見直してみてください。
何かわからないことがあればお気軽にご相談ください 😀

 

 

〈参考文献〉

・SIMPLE TEXT 第4版 口腔外科の疾患と治療 永末書店 ・顎関節症 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020 (jda.or.jp) ・顎関節症とは|一般社団法人日本顎関節学会 (kokuhoken.net)

・JADSM Vol6 No.2 『ナイトガード使用に関する検討』 著者:鈴木善貴