矯正治療の痛みを和らげる6つの対策〜登戸クローバー歯科理事長が解説

歯に関するブログ 2025年08月06日(水)

矯正治療と痛みの関係〜なぜ痛みが生じるのか

矯正治療を始めようと思っても、「痛いのではないか」と不安に感じる方は少なくありません。実際、矯正治療では歯を動かすために圧力をかけるため、ある程度の痛みや違和感を伴うことがあります。

矯正治療による痛みは、主に歯が動く際に生じます。歯に矯正装置を装着し力を加えると、歯根膜という歯の根を覆っている組織に圧力がかかります。この圧力によって、骨を作ったり壊したりする細胞が活性化し、歯が少しずつ動いていくのです。

この過程で炎症反応が起こるため、肩こりや筋肉痛に似た鈍い痛みを感じることがあります。また、装置が口の中の粘膜に当たることで口内炎ができ、痛みを感じることもあります。

痛みの感じ方には個人差があり、「歯が浮いたような感覚」「うずくような痛み」など、表現も様々です。一般的には装置の調整後2〜3日が最も痛みを感じやすく、1週間程度で徐々に和らいでいきます。

では、この痛みをどのように和らげることができるのでしょうか。今回は矯正治療中の痛みを軽減するための6つの対策をご紹介します。

矯正治療の痛みを和らげる6つの対策

矯正治療中の痛みは避けられないものと思われがちですが、実は様々な方法で和らげることができます。ここでは、当院でも患者さまにお伝えしている効果的な6つの対策をご紹介します。

これらの方法を知っておくことで、矯正治療への不安が軽減され、より快適に治療を続けることができるでしょう。それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。

1. 矯正用ワックスの活用

矯正装置が頬や舌、唇などの粘膜に当たって痛みを感じる場合は、矯正用ワックスが非常に効果的です。このワックスは歯科医院でもらえる柔らかい素材でできており、痛みの原因となっている装置の部分に貼り付けて使用します。

使い方は簡単です。まず、痛みを感じている装置の部分を特定します。次に、ティッシュやコットンで該当部分の水分をよく拭き取ります。そして、ワックスを適量取り、指で丸めてから乾いた装置に押し付けるように貼り付けます。

ワックスを使用することで、装置のデコボコ感がなくなり、粘膜への刺激が大幅に軽減されます。食事や歯磨きの際には外れてしまうことが多いので、必要に応じて付け直すようにしましょう。

2. 食事内容の工夫

矯正装置の調整後は、歯に痛みを感じて硬いものが噛みづらくなることがあります。そんなときは食事内容を工夫することで、痛みを和らげることができます。

調整後2〜3日は特に痛みを感じやすいので、この期間は柔らかい食べ物を中心にした食事を心がけましょう。おすすめは煮込みうどんやお粥、豆腐、蒸しパンなど、噛む力をあまり必要としない食品です。

ただし、柔らかいものばかり食べていると顎の筋肉バランスが崩れる可能性があります。痛みが落ち着いてきたら、徐々に通常の食事に戻していくことが大切です。また、極端に冷たいものや熱いものは刺激になることがあるので、温度にも注意しましょう。

3. 痛み止めの適切な使用

どうしても痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合は、痛み止めの服用も一つの選択肢です。一般的には、市販の鎮痛剤を服用することで痛みを軽減することができます。

また、頻繁に痛み止めを使用することは避け、本当に必要なときだけ服用するようにしましょう。不安な場合は、必ず担当医に相談してから使用することをおすすめします。

4. 温めたり冷却する方法

歯の痛みに対して、温めたり冷やしたりする方法も効果的です。特に就寝前や入浴後など体が温まっているときに痛みを感じやすい場合は、冷却が有効です。

薄い布で包んだ保冷剤や濡らしたタオルを、痛みを感じている部分に当てると痛みが和らぐことがあります。ただし、長時間冷やしすぎると血流が悪くなり矯正力が弱まる可能性があるので、1回5〜10分程度にとどめましょう。

一方、温かい食塩水でうがいをすることも古くから痛み緩和法として知られています。食塩水の浸透圧変化により痛みが軽減されるとされており、手軽に試せる方法です。ぬるま湯に小さじ1/2程度の塩を溶かし、1日数回うがいをしてみましょう。

温冷どちらの方法も、自分の感覚に合わせて使い分けるとよいでしょう。ただし、極端な温度差は歯に負担をかけることがあるので注意が必要です。

5. 歯茎のマッサージ

歯茎をマッサージすることで、血行が促進され痛みが和らぐことがあります。矯正治療による痛みは血行障害が一因となっているため、マッサージによって血流を改善することが効果的です。

清潔な指で歯茎を優しく円を描くようにマッサージしましょう。強く押しすぎると逆効果になるので、心地よい程度の圧で行うことがポイントです。1回につき2〜3分程度、1日に数回行うとよいでしょう。

6. アロマテラピーの利用

意外かもしれませんが、アロマテラピーも矯正治療の痛み緩和に効果があることが研究で示されています。特にラベンダーやペパーミントのエッセンシャルオイルは、痛みの緩和に効果的とされています。

北海道大学の研究では、ラベンダーとペパーミントの香りを吸入することで、矯正治療による歯痛が緩和されることが確認されています。特にペパーミントはラベンダーよりも効果が高く、吸入後30分程度で痛みの軽減効果が現れました。

アロマディフューザーを使って寝室などに香りを広げるか、ハンカチに数滴垂らして持ち歩くなど、自分に合った方法で取り入れてみましょう。リラックス効果もあるので、痛みによる不安や緊張の緩和にも役立ちます。

ただし、アロマオイルに対してアレルギーがある方や、喘息などの呼吸器疾患がある方は使用を控えるか、医師に相談してから使用するようにしましょう。

矯正治療中の痛みはいつまで続くの?

矯正治療による痛みがいつまで続くのか気になる方も多いでしょう。一般的に、装置の調整後は6時間ほどで痛みを感じ始め、2〜3日がピークとなります。その後は徐々に和らぎ、1週間程度でほとんど気にならなくなることが多いです。

ただし、これには個人差があります。痛みに敏感な方もいれば、ほとんど痛みを感じない方もいます。また、矯正方法によっても痛みの程度は異なります。

マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正に比べて痛みが少ないとされています。透明なマウスピースを使用して段階的に歯を動かすため、歯や歯茎への負担が軽減されるのです。

一方、ワイヤー矯正では調整のたびに一時的な痛みを感じることがありますが、これも治療が進むにつれて慣れていくことが多いです。

痛みが長引く場合や、我慢できないほどの強い痛みがある場合は、必ず担当医に相談しましょう。装置の調整が必要な場合もあります。

矯正方法による痛みの違い

矯正治療にはいくつかの方法がありますが、それぞれ痛みの感じ方に違いがあります。ここでは、主な矯正方法による痛みの特徴を比較してみましょう。

ワイヤー矯正の場合

ワイヤー矯正では、歯にブラケットと呼ばれる装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯を動かします。この方法では、ワイヤーの交換や調整を行った後に痛みを感じることが多いです。

痛みの特徴としては、歯全体が浮いたような感覚や、噛むときの痛みが挙げられます。また、装置が頬や舌に当たって口内炎ができることもあります。

当院では、なるべく歯を抜かない「MEAW(Multiloop Edgewise Arch Wire)」を採用しており、患者さまの負担を軽減するよう心がけています。また、初期段階では細いワイヤーから始めることで、痛みを最小限に抑える工夫もしています。

マウスピース矯正の場合

マウスピース矯正は、透明な樹脂製のマウスピースを使って歯を少しずつ動かしていく方法です。ワイヤー矯正に比べて痛みが少ないとされていますが、まったく痛みがないわけではありません。

新しいマウスピースに交換するたびに、軽い圧迫感や違和感を感じることがあります。ただし、その痛みはワイヤー矯正ほど強くなく、短期間で慣れることが多いです。

また、マウスピース矯正では口内炎などの粘膜トラブルが少ないというメリットもあります。装置に突起物がないため、口の中を傷つけにくいのです。

小児矯正の場合

お子さんの矯正治療では、拡大床矯正装置やEFラインなどの装置を使用することがあります。これらの装置は取り外しが可能で、就寝時や自宅での時間に使用します。

小児矯正の場合も、初めて装置を装着したときに違和感や軽い痛みを感じることがありますが、多くの場合すぐに慣れます。痛みが続く場合は、装置の調整が必要かもしれませんので、担当医に相談することが大切です。

当院では、お子さまの矯正治療に際して、管理栄養士によるMFT(筋機能訓練)や食育も行っています。これにより、お口の機能を総合的に改善し、より効果的な治療を目指しています。

痛みが強い場合はどうすればいい?

これまでご紹介した対策を試しても痛みが強く続く場合は、我慢せずに担当医に相談することが大切です。特に以下のような場合は、早めに歯科医院に連絡しましょう。

まず、眠れないほどの強い痛みがある場合。矯正治療による痛みは通常、睡眠を妨げるほど強くはありません。そのような痛みがある場合は、装置の調整が必要かもしれません。

次に、1週間以上痛みが続く場合。通常、痛みは1週間程度で落ち着くものです。それ以上続く場合は、何か問題が生じている可能性があります。

また、突然の強い痛みや、特定の歯だけが極端に痛む場合も注意が必要です。装置が破損していたり、歯に過度な力がかかっていたりする可能性があります。

当院では、患者さまの痛みや不安に迅速に対応できるよう、土曜日・日曜日も通常診療を行っています。急な痛みや装置のトラブルにも対応可能ですので、お気軽にご連絡ください。

まとめ〜痛みを乗り越えて理想の歯並びへ

矯正治療による痛みは避けられない部分もありますが、今回ご紹介した6つの対策を活用することで、かなり軽減することができます。矯正用ワックスの活用、食事内容の工夫、適切な痛み止めの使用、温冷療法、歯茎のマッサージ、アロマテラピーなど、自分に合った方法を見つけてみてください。

また、矯正方法によって痛みの感じ方は異なります。当院では患者さま一人ひとりの状態に合わせて、最適な矯正方法をご提案しています。なるべく痛みが少なく、効果的な治療を受けたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

痛みがあるからといって治療を諦めてしまうのはもったいないことです。一時的な痛みを乗り越えれば、美しい歯並びと健康的な口腔環境を手に入れることができます。歯並びが良くなることで、歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクも減少します。

登戸クローバー歯科・矯正歯科では、患者さまの不安や痛みに寄り添いながら、満足いただける歯科医療サービスの提供を目指しています。矯正治療に関するご質問やご相談は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

美しい歯並びへの第一歩を、私たちと一緒に踏み出しませんか?

監修者情報

鈴木 聡(すずき さとし)先生
医療法人社団 緑幸会 登戸クローバー歯科・矯正歯科 理事長

略歴
広島大学歯学部卒業後、複数の歯科医院で研鑽を積み、幅広い症例に対応。現在は神奈川県川崎市にある「登戸クローバー歯科・矯正歯科」の院長を務めるとともに、登戸・東京都世田谷区桜新町に分院を展開しており、統括する医療法人社団 緑幸会の理事長として、地域の歯科医療に貢献している。している。

専門分野
矯正歯科・インプラント治療・審美歯科
特に、抜歯に頼らない「非抜歯矯正」や、目立ちにくい「マウスピース矯正(インビザライン)」に注力し、見た目と機能の両立を図る治療に力を入れている。

所属学会等

  • 日本矯正歯科学会 会員
  • 日本口腔インプラント学会 会員

監修者からのひとこと
患者さまの「見た目」と「噛める機能」の両立を大切にし、年齢やライフスタイルに合わせた矯正治療を心がけています。大人の方でも安心して始められる治療法をご提案いたします