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歯周病治療の費用相場と保険適用範囲を徹底解説

歯に関するブログ 2025年09月25日(木)

歯周病治療にかかる費用の基本

歯周病の治療費について気になっている方は多いのではないでしょうか。実は歯周病の治療費は、症状の進行度によって大きく異なります。

歯周病は日本の成人の約80%が罹患している国民病です。初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうことが多いのが特徴です。早期発見・早期治療が重要なのはこのためなのです。

歯周病の治療費は、基本的に健康保険が適用されます。ただし、症状の進行度や選択する治療法によって、自己負担額は大きく変わってきます。

歯周病の進行度別にみる治療費の相場

歯周病の治療費は、進行度によって大きく異なります。歯周病は一般的に「歯肉炎」「軽度歯周炎」「中等度歯周炎」「重度歯周炎」の4段階に分類されます。それぞれの段階での治療費の相場を見ていきましょう。

歯肉炎の治療費

歯周病の初期段階である歯肉炎の場合、保険診療(3割負担)で3,000〜4,000円程度が治療費の目安です。歯肉炎は歯茎にのみ炎症が起きている状態で、ブラッシング指導と歯石除去(スケーリング)が主な治療となります。

症状が軽いため、通院回数も1〜2回程度で済むことが多く、治療期間も短いのが特徴です。この段階で適切な治療を受ければ、完全に元の健康な状態に戻ることも可能です。

歯肉炎の段階で治療を始めることで、結果的に治療費の総額を抑えることができるのです。

軽度歯周炎の治療費

軽度の歯周炎になると、歯茎の炎症に加えて歯を支える骨(歯槽骨)にも軽度の吸収が始まります。この段階での治療費は、保険診療(3割負担)で5,000〜10,000円程度が目安です。

軽度歯周炎の治療では、歯石除去に加えて歯周ポケット内の清掃(SRP:スケーリング・ルートプレーニング)が必要になります。通院回数は2〜4回程度、治療期間は1〜2ヶ月かかることが一般的です。

自由診療を選択した場合は、1万〜5万円程度の費用がかかることが多いでしょう。

中等度歯周炎の治療費

中等度の歯周炎になると、歯槽骨の吸収がさらに進み、歯がグラグラし始める症状が現れることもあります。この段階での治療費は、保険診療(3割負担)で10,000〜15,000円程度が目安です。

中等度歯周炎の治療では、より深い歯周ポケットの清掃が必要となり、場合によっては歯周外科治療が必要になることもあります。通院回数は4〜7回程度、治療期間は3〜6ヶ月かかることが一般的です。

自由診療の場合は、5万〜50万円程度の費用がかかることもあります。治療内容や歯科医院によって費用は大きく異なるため、事前に確認することをおすすめします。

重度歯周炎の治療費

重度の歯周炎では、歯槽骨の吸収が著しく進行し、歯がグラグラと動いたり、膿が出たりする症状が見られます。この段階での治療費は、保険診療(3割負担)で15,000〜20,000円程度が目安です。

重度歯周炎の治療では、歯周外科治療が必要になることが多く、場合によっては抜歯も検討しなければならないこともあります。通院回数は8回以上、治療期間は1年以上かかることもあります。

自由診療の場合は、20万円以上の費用がかかることも少なくありません。特に再生療法などの高度な治療を選択する場合は、さらに高額になる可能性があります。

歯周病治療の保険適用範囲

歯周病治療は基本的に健康保険が適用されますが、すべての治療が保険でカバーされるわけではありません。保険適用される治療と自由診療となる治療について見ていきましょう。

保険適用される歯周病治療

健康保険が適用される主な歯周病治療には、以下のようなものがあります。

  • 歯周病検査(歯周ポケットの測定など)
  • ブラッシング指導
  • スケーリング(歯石除去)
  • ルートプレーニング(歯根面の清掃)
  • 歯周ポケット掻爬(そうは)術
  • 歯周外科手術(フラップ手術など)
  • 投薬(抗生物質など)

これらの治療は3割負担(70歳以上は1〜2割負担)で受けることができます。ただし、保険診療の場合は使用できる材料や薬剤に制限があり、治療回数や時間にも制約があることを理解しておきましょう。

歯周病治療は長期にわたることが多いですが、定期的なメンテナンスも保険適用となるため、継続的な治療を受けやすい環境が整っています。

保険適用外の歯周病治療

一方、以下のような治療は保険適用外(自由診療)となることが一般的です。

  • レーザー治療
  • 再生療法(リグロスなどの特殊薬剤を使用する治療)
  • 高度な歯周外科手術
  • 特殊な薬剤を用いた治療
  • 審美性を重視した処置

これらの治療は保険が適用されないため、全額自己負担となります。ただし、中には一部のみ保険適用外となる治療もあります。例えば、リグロスを用いた歯周組織再生療法は、手術自体は保険適用されますが、使用する薬剤(リグロス)の費用は自己負担となります。

自由診療は費用が高くなる傾向がありますが、最新の技術や材料を使用できるため、治療の質や快適性が向上する場合があります。治療法を選択する際は、費用だけでなく、治療効果や自分の状態に合った方法を歯科医師と相談することが大切です。

歯周病治療の種類と費用

歯周病の治療には様々な方法があります。ここでは主な治療法とその費用について詳しく見ていきましょう。

歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)

歯周基本治療は、歯周病治療の基本となる処置です。歯石除去(スケーリング)と歯根面の清掃(ルートプレーニング)を行い、歯周病の原因となる細菌の温床を取り除きます。

保険診療の場合、1回の治療につき3割負担で約1,000〜2,000円程度です。歯周病の進行度や歯石の量によって必要な回数は異なりますが、一般的に2〜5回程度の治療が必要となります。

歯周基本治療は、どの段階の歯周病でも必ず行われる治療であり、歯周病治療の成功を左右する重要な処置です。

歯周外科治療

歯周基本治療だけでは改善が見られない場合や、深い歯周ポケットがある場合には、歯周外科治療が必要になることがあります。歯茎を切開して直接歯根や骨を処置する手術です。

保険診療の場合、フラップ手術(歯肉弁根尖側移動術)で3割負担で約7,000〜10,000円程度です。ただし、治療する部位や範囲によって費用は変わります。

歯周外科治療は主に中等度から重度の歯周炎の患者さまに対して行われます。手術後の回復期間も含めると、治療完了までに数ヶ月かかることもあります。

レーザー治療

レーザーを使用した歯周病治療も近年普及してきています。レーザー治療は、歯周ポケット内の細菌を殺菌し、炎症を抑える効果があります。

レーザー治療は基本的に自由診療となるため、全額自己負担となります。費用は歯科医院によって異なりますが、1回あたり3,000〜10,000円程度、全顎では数万円から十数万円かかることもあります。

レーザー治療のメリットは、痛みが少なく、出血も抑えられることです。また、従来の治療法と比べて治癒が早いとされています。ただし、重度の歯周病の場合は、レーザー治療だけでは不十分なことも多いです。

再生療法(リグロスなど)

歯周病によって失われた歯周組織(歯槽骨や歯根膜など)を再生させる治療法もあります。代表的なものに「リグロス」という薬剤を使用した再生療法があります。

リグロスを用いた歯周組織再生療法は、手術自体は保険適用されますが、リグロスの薬剤費(1本約7,000〜10,000円)は自己負担となります。1本で2〜3本の歯を治療できることが多いですが、治療範囲によっては複数本必要になることもあります。

再生療法は主に中等度から重度の歯周炎で、歯を保存したい場合に検討される治療法です。成功すれば失われた骨が再生し、歯の安定性が向上する可能性があります。

歯周病治療費を抑える方法

歯周病の治療費は進行度によって大きく変わります。ここでは、治療費を抑えるためのポイントをご紹介します。

早期発見・早期治療が最も効果的

歯周病治療で費用を抑える最も効果的な方法は、早期発見・早期治療です。歯肉炎や軽度歯周炎の段階で治療を始めれば、治療期間も短く、費用も抑えることができます。

定期的な歯科検診を受けることで、歯周病の早期発見につながります。3か月から半年に1回程度の検診を習慣にしましょう。

「歯茎から血が出る」「口臭が気になる」といった初期症状を感じたら、すぐに歯科医院を受診することをおすすめします。放置すればするほど症状は進行し、結果的に高額な治療費がかかることになります。

保険診療を選択する

自由診療と比べて保険診療は費用が抑えられます。もちろん、症状や希望によっては自由診療が適している場合もありますが、費用面を重視するなら保険診療を選択するとよいでしょう。

ただし、保険診療には使用できる材料や治療法に制限があることを理解しておく必要があります。歯科医師とよく相談し、自分の状態に合った治療法を選びましょう。

歯科医院によっては、保険診療と自由診療を組み合わせた治療プランを提案してくれることもあります。費用面で不安がある場合は、治療前に相談してみるとよいでしょう。

セルフケアの徹底

歯周病治療の成功には、歯科医院での治療だけでなく、日々のセルフケアが欠かせません。正しいブラッシング方法を身につけ、毎日丁寧に歯磨きを行うことで、治療効果を高め、再発を防ぐことができます。

歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助用具も積極的に活用しましょう。これらの用具は数百円程度で購入でき、歯ブラシだけでは届かない部分の清掃に効果的です。

セルフケアを徹底することで、治療期間の短縮や再発防止につながり、結果的に治療費の削減にもなります。

歯周病治療の期間と通院回数

歯周病治療にかかる期間や通院回数も、費用を考える上で重要なポイントです。進行度別の治療期間と通院回数の目安を見ていきましょう。

歯肉炎の治療期間

歯肉炎の段階であれば、1〜2回の通院で治療が完了することも多いです。治療期間は2週間〜1ヶ月程度が一般的です。

歯肉炎は歯茎にのみ炎症が起きている状態で、適切な治療とセルフケアによって比較的短期間で改善が見込めます。

ただし、治療後も定期的なメンテナンスは必要です。3〜6ヶ月に1回程度のメンテナンスを受けることで、再発を防ぐことができます。

軽度〜中等度歯周炎の治療期間

軽度の歯周炎では、2〜4回の通院が必要となることが多く、治療期間は1〜2ヶ月程度です。中等度の歯周炎になると、4〜7回の通院が必要で、治療期間は3〜6ヶ月かかることが一般的です。

歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)を複数回行い、その効果を確認しながら治療を進めていきます。治療の合間には自宅でのセルフケアも重要です。

治療完了後も、3〜4ヶ月に1回程度のメンテナンスが推奨されます。

重度歯周炎の治療期間

重度の歯周炎では、8回以上の通院が必要となることも珍しくありません。治療期間も6ヶ月〜1年以上かかることが一般的です。

歯周基本治療に加えて、歯周外科治療や再生療法などが必要になることも多く、それぞれの治療後に回復期間が必要となります。また、治療の効果を確認するための検査も複数回行われます。

治療完了後は、より頻繁なメンテナンス(2〜3ヶ月に1回程度)が推奨されます。

まとめ:歯周病治療は早期発見・早期治療が鍵

歯周病治療の費用は、進行度によって大きく異なります。歯肉炎や軽度歯周炎の段階であれば数千円〜1万円程度で治療できることも多いですが、重度歯周炎になると数万円〜数十万円の費用がかかることもあります。

歯周病治療は基本的に健康保険が適用されますが、レーザー治療や再生療法などの高度な治療は自由診療となることが多いです。治療法を選択する際は、費用だけでなく、治療効果や自分の状態に合った方法を歯科医師とよく相談することが大切です。

歯周病治療で最も重要なのは、早期発見・早期治療です。定期的な歯科検診を受け、少しでも気になる症状があれば早めに歯科医院を受診しましょう。また、日々のセルフケアを徹底することで、治療効果を高め、再発を防ぐことができます。

歯周病は一度かかると完全に治すことが難しい病気です。しかし、適切な治療とケアを続けることで、症状をコントロールし、健康な歯を長く保つことができます。費用面で不安がある場合は、歯科医師に相談し、自分に合った治療プランを立ててもらいましょう。

歯の健康は全身の健康にも関わる重要な問題です。歯周病治療は決して安くはありませんが、健康な歯を守るための投資と考え、適切なケアを続けていきましょう。

当院では、患者さま一人ひとりの状態に合わせた歯周病治療を提供しています。費用面でのご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

監修者情報

鈴木 聡(すずき さとし)先生
医療法人社団 緑幸会 登戸クローバー歯科・矯正歯科 理事長

略歴
広島大学歯学部卒業後、複数の歯科医院で研鑽を積み、幅広い症例に対応。現在は神奈川県川崎市にある「登戸クローバー歯科・矯正歯科」の院長を務めるとともに、登戸・東京都世田谷区桜新町に分院を展開しており、統括する医療法人社団 緑幸会の理事長として、地域の歯科医療に貢献している。

専門分野
矯正歯科・インプラント治療・審美歯科
特に、抜歯に頼らない「非抜歯矯正」や、目立ちにくい「マウスピース矯正(インビザライン)」に注力し、見た目と機能の両立を図る治療に力を入れている。

所属学会等

  • 日本矯正歯科学会 会員
  • 日本口腔インプラント学会 会員

監修者からのひとこと
患者さまの「見た目」と「噛める機能」の両立を大切にし、年齢やライフスタイルに合わせた矯正治療を心がけています。大人の方でも安心して始められる治療法をご提案いたします。