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小児の歯並びと顎の発達~正しい知識で将来の歯並びを守る

歯に関するブログ 2025年11月06日(木)

小児の歯並びと顎の発達が将来に与える影響

お子さまの歯並びや顎の発達について、どのくらい意識されていますか?

歯並びは単なる見た目の問題ではなく、お子さまの将来の健康や生活の質に大きく関わる重要な要素です。特に成長期の子どもたちにとって、顎の正しい発達は歯並びの土台となるため、早期からの適切なケアが非常に重要になります。

私は歯科医師として多くのお子さまの歯並びと顎の発達を見てきました。その経験から言えることは、小さな頃からの予防的なアプローチが、将来の複雑な矯正治療を避けるカギになるということです。

顎が小さいと歯が並ぶスペースが不足し、結果として歯の重なりやズレが生じやすくなります。これは見た目の問題だけでなく、食べ物の咀嚼能力の低下、顎関節症のリスク、さらには虫歯や歯周病のリスク増加にもつながるのです。

では、どうすれば子どもの健やかな顎の発達と機能的な歯並びを促すことができるのでしょうか?

顎の発達と歯並びの関係性

顎の発達と歯並びは密接に関連しています。顎が十分に発達していないと、生えてくる歯が並ぶスペースが足りなくなってしまいます。

現代の子どもたちは、昔の子どもたちと比べて顎の発達が不十分なケースが増えています。これには様々な原因がありますが、食生活の変化が大きく影響していると考えられています。柔らかい食べ物が増え、しっかり噛む機会が減っているのです。

顎の骨格は、適度な刺激があることで発達していきます。つまり、しっかり噛むことは顎の発達を促す重要な要素なのです。

また、舌の位置や口の周りの筋肉の発達、姿勢、呼吸の仕方なども顎の発達に影響を与えます。特に口呼吸の習慣は、顎の正常な発達を妨げる大きな要因となります。

顎が小さいと、具体的にどのような問題が生じるのでしょうか?

  • 歯並びが悪くなりやすい(歯が重なったり、ズレたりする)
  • 噛み合わせがずれて、食べ物を噛みにくくなる
  • 口呼吸になりやすく、風邪などの感染症にかかりやすくなる
  • 睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まる
  • 滑舌が悪くなりやすい

特に口呼吸は、鼻呼吸と比べて外の空気が鼻のフィルターを通らずに口から直接体内に入るため、感染症のリスクが高まります。また、口が常に開いている状態が続くと、口周りの筋肉が衰え、顔のたるみやシワの原因にもなるのです。

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子どもの歯並びに影響する生活習慣

お子さんの歯並びや顎の発達は、日々の生活習慣によって大きく左右されます。特に注意したいのは、姿勢や食事の仕方です。

まず、姿勢について考えてみましょう。お子さんがゲームやスマホを使っているとき、どんな姿勢になっていますか?

ゲームに夢中になると、つい前のめりになったり、背中が丸くなったりしがちです。この姿勢が続くと、首が前に出て背中が丸まり、顎が突き出て口がぽかんと開いたままになってしまいます。

本来、舌は上顎に軽く触れているのが理想的ですが、口が開いた状態が続くと舌が下がりやすくなります。その結果、上顎の成長が妨げられ、歯並びがガタガタになってしまうことがあるのです。

勉強中の姿勢も重要です。頬杖をつくと、手で顎を押し続けることになり、その圧力が歯列に影響を与えて乱れを引き起こすことがあります。

食事の仕方も顎の発達に大きく関わります。現代の食生活では柔らかい食べ物が増え、しっかり噛む機会が減っています。

顎の発達を促すためには、前歯でかぶりつくような食事が効果的です。例えば、トウモロコシを両手で持ってかぶりつかせたり、カレーに入れる肉も大きくしてしっかり前歯で噛ませたりするよう心がけましょう。

お子さんの歯並びを守るために、日常生活で気をつけるべきポイントをまとめると:

  • ゲームやスマホを使うときは、画面を目線の高さに合わせる
  • 長時間同じ姿勢にならないよう、30分に一度は軽く体を動かす
  • 頬杖をつく習慣を避ける
  • しっかり噛める食べ物を積極的に取り入れる
  • 前歯でかぶりつく食べ方を意識する
  • 口呼吸ではなく鼻呼吸を心がける

これらの習慣を小さな頃から身につけることで、顎の健全な発達を促し、将来の歯並びの問題を予防することができます。

小児矯正の重要性とタイミング

「子どもの歯並びが気になるけど、いつから矯正を始めればいいの?」

これは多くの親御さんが抱える疑問です。実は、矯正治療を始めるタイミングは、お子さんの歯並びの状態によって異なります。

小児矯正には大きく分けて、乳歯が残っている時期に行う「第一期治療」と、永久歯が生えそろった後に行う「第二期治療」があります。

特に注意が必要なのは、受け口(反対咬合)のケースです。受け口は3歳児健診や幼稚園・保育園の4〜5歳児健診で指摘されることが多いのですが、この時期に早めの治療を始めることが重要です。

なぜなら、顎の骨格が完成する前に適切な治療を行うことで、顎の成長を正しい方向に導くことができるからです。早期に治療を始めれば、将来的に外科手術が必要になるリスクを大幅に減らすことができます。

一般的な歯並びの問題については、6〜7歳頃(前歯が永久歯に生え変わる時期)から矯正治療を始めるのが理想的です。この時期は、お子さんが素直にお願いを聞いてくれる年齢でもあり、治療への協力が得やすいというメリットもあります。

9〜10歳になると自我が強まり、保護者のお願いにも反抗しやすくなる傾向があります。また、この頃は犬歯が生えてくるタイミングでもあり、治療に時間がかかってしまうことがあります。

小児矯正のメリットは数多くありますが、特に重要なのは以下の点です:

  • 顎の成長を利用できるため、抜歯の必要性が低くなる
  • 顎の発育を促進し、永久歯がきれいに並ぶスペースを確保できる
  • 将来の本格的な矯正治療の期間を短縮できる
  • 顔立ちのバランスにも良い影響を与える
  • 噛み合わせの改善により、顎関節症などのリスクを減らせる

一方で、小児矯正にはデメリットもあります。治療期間が長くなる可能性があること、装置の装着に子ども自身の協力が必要なこと、装置によっては虫歯のリスクが高まることなどが挙げられます。

しかし、これらのデメリットは、定期的な歯科検診と適切なケアによって最小限に抑えることができます。

非抜歯矯正の考え方と利点

矯正治療というと「歯を抜く」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、現代の矯正治療では、できるだけ歯を抜かない「非抜歯矯正」が主流になりつつあります。

なぜ歯を抜かない方が良いのでしょうか?

永久歯を抜くと、その分歯列が短くなります。これにより、噛み合わせが変化し、咀嚼に影響が生じたり、歯や歯茎に過剰な力がかかったりする可能性があります。また、噛み合わせの乱れは顎関節症の原因の1つにもなります。

さらに、抜歯によって歯列のアーチ(歯並びの弧)が小さくなると、舌が後方に下がります。これは気道の狭まりを意味し、いびきや口呼吸の癖などを引き起こす原因になることがあります。

非抜歯矯正では、顎の成長を促進しながら歯を並べるスペースを確保します。特に成長期のお子さんの場合、顎の発達を適切に誘導することで、永久歯がきれいに並ぶための十分なスペースを作ることができます。

当院では、ゴムメタルワイヤーや矯正システム「Meaw Tequnique(ミュウテクニック)」を採用し、なるべく歯を抜かない矯正治療を推奨しています。この方法により、従来なら抜歯が必要と思われていたケースでも、歯を残したまま美しい歯並びを実現できることが多くなっています。

非抜歯矯正を実現するためのポイントは、「歯列の改善」と「顎の成長の促進」です。

歯並びが乱れている場合、歯列は上から見て「V字型」になっていることが多くなります。これを本来のあるべき形「U字型」へと変えていくことで、歯をきれいにスペースに収めやすくなります。

また、小児矯正においては顎の成長を促進することが重要です。矯正装置やトレーニングによって顎の成長を促し、永久歯がきれいに並ぶための本来のスペースを確保します。

非抜歯矯正のメリットは以下の通りです:

  • すべての歯を残すことで、自然な噛み合わせを維持できる
  • 顎関節への負担を軽減できる
  • 気道の狭まりを防ぎ、呼吸機能を維持できる
  • 顔立ちのバランスを保ちやすい
  • 将来的な歯の喪失リスクを減らせる

もちろん、すべてのケースで非抜歯矯正が可能というわけではありません。症例によっては、最適な治療結果を得るために抜歯が必要な場合もあります。しかし、早期からの適切な介入により、抜歯の必要性を減らすことができるのです。

子どもの歯並びを守るための日常ケア

お子さまの歯並びと顎の健全な発達を促すためには、日常生活でのケアが欠かせません。ここでは、家庭で実践できる効果的なケア方法をご紹介します。

正しい食習慣を身につける

顎の発達を促すためには、しっかり噛む習慣が重要です。柔らかい食べ物ばかりではなく、適度な硬さのある食品を取り入れましょう。

特に効果的なのは、前歯でかぶりつく食べ方です。リンゴやトウモロコシなど、前歯を使って食べる食品を積極的に取り入れると良いでしょう。

また、食事の際には急がずによく噛むことを心がけましょう。「一口30回噛む」など、具体的な目標を設定するのも効果的です。

正しい姿勢と呼吸法

姿勢は歯並びにも影響します。背筋を伸ばし、顎を引いた姿勢を心がけましょう。

また、口呼吸ではなく鼻呼吸を習慣づけることも重要です。口呼吸が習慣になると、上顎の発達が妨げられ、歯並びに悪影響を及ぼします。

就寝時に口が開いていないか観察し、口呼吸が気になる場合は歯科医師に相談しましょう。

悪習慣を避ける

指しゃぶりや爪噛み、頬杖をつくなどの習慣は、歯並びに悪影響を与えます。

特に指しゃぶりは5〜6歳を過ぎても続くと、前歯が外側に動く原因となります。優しく声をかけながら、少しずつ習慣を改善していきましょう。

また、ゲームやスマホの使用時間を適切に管理し、長時間同じ姿勢でいることを避けるよう心がけましょう。

定期的な歯科検診

お子さんの歯並びや顎の発達を定期的にチェックすることが大切です。歯科医院での定期検診を通じて、早期に問題を発見し、適切な対応をとることができます。

特に乳歯から永久歯への生え変わり時期(6〜7歳頃)は、歯並びの問題が顕在化しやすい時期です。この時期の定期検診は非常に重要です。

歯科医師と相談しながら、お子さんに合った予防的なアプローチを取り入れていきましょう。

まとめ:子どもの歯並びと将来の健康

お子さまの歯並びと顎の発達は、将来の健康と生活の質に大きく影響します。単なる見た目の問題ではなく、咀嚼機能、発音、呼吸、さらには全身の健康にも関わる重要な要素なのです。

早期からの適切なケアと必要に応じた矯正治療により、多くの問題を予防することができます。特に成長期の子どもたちにとって、顎の正しい発達を促すことは、将来の複雑な矯正治療を避けるカギとなります。

当院では、お子さんの健やかな成長をサポートするため、なるべく歯を抜かない矯正治療を推奨しています。ゴムメタルワイヤーや矯正システム「Meaw Tequnique(ミュウテクニック)」を活用し、お子さん一人ひとりに合った最適な治療プランをご提案しています。

お子さまの歯並びや顎の発達について気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。専門的な観点から適切なアドバイスと治療をご提供いたします。

お子さまの健やかな笑顔のために、私たちができることがきっとあります。

詳しくは非抜歯矯正についての情報をご覧ください。お子さまの歯並びと顎の健全な発達をサポートするため、当院のスタッフ一同、心よりお待ちしております。

登戸クローバー歯科・矯正歯科

歯科医師 川端