唾液の重要性

歯に関するブログ 2024年01月22日(月)

こんにちは!歯科医師の市川です。

ここ最近、何人かの患者様から

口の乾燥が気になる、唾液があまり出なくなった 🙁

などのお悩みの相談を受けました。

そもそも唾液とは何なのか?何のためにあるのか?

今回は唾液についてお話していこうと思います。

口の乾燥 唾液が出づらい 

☆唾液とは

唾液は、唾液腺という唾液をつくる組織から口の中に分泌される分泌液であり、
消化管で最初に分泌される消化液でもあります。
唾液の99%は水分でできています。

成人の1日の唾液分泌量は約1.0~1.5ℓといわれていますが、
体温、血圧、体液量や性差、季節などに影響するため必ずしも一定ではありません。

また、唾液の分泌は自律神経によって調節されています。

 

☆役割

唾液は以下のような様々な役割をしています。

① 消化作用
唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれており、食べ物の消化を促します。

② 円滑作用
食べ物を湿潤して食塊の形成を補助し、嚥下がスムーズに行われるようにしています。
また、会話時の舌や唇の動きも円滑にしています。

③ 抗菌・殺菌作用
唾液には抗菌物質が含まれており、細菌やウイルスから身を守っています。

④ 緩衝作用
酸またはアルカリを中和する働きがあります。

⑤ 抗脱灰作用
緩衝作用の働きにより、細菌が産生する酸を中和して
歯の脱灰(歯の成分が溶け出すこと)から防いでいます。

⑥ 保護作用
唾液にはムチンと呼ばれるたんぱく質が含まれており、
粘膜に付着する性質があります。
これにより粘膜を乾燥から防いでいます。

⑦ 味覚発現作用
食べ物の成分を溶解し、味蕾(食べ物の味を感じる器官)の機能をたすけています。

⑧ 洗浄作用
歯や粘膜に付着した食べかすを洗浄します。

⑨ 排泄作用
体内に取り込まれた有害物質(薬物、化学物質など)を唾液中に排泄させ、血中濃度を下げます。

⑩ 水分平衡作用
口内の水分量調節する働きがあります。

 

☆唾液による影響

上記のように唾液はたくさんの役割を担っており、
歯や口の粘膜の健康を維持するのにとても重要です。

その唾液の量が減少してしまうと、

・虫歯や歯周病のリスクが上がる
・口腔内が乾燥する
・口臭
・食べ物が飲み込みづらくなる
・味を感じづらくなる
・しゃべりづらくなる

などといったことが引き起こされます。
唾液分泌の低下の原因には、

・加齢
・ストレス
・糖尿病、シェーグレン症候群などの疾患
・薬の副作用
・放射線障害
・腫瘍や外傷による唾液腺や神経への障害

などが知られています。

 

☆唾液分泌を促す方法

唾液分泌を促す方法の一つとして、
「唾液腺マッサージ」というものがあります。
全唾液の90%以上は、
三大唾液腺である耳下腺、顎下腺、舌下線でつくられています。

その三か所をマッサージして刺激を与えることにより効果が出てきます。
耳下腺 顎下腺 舌下線
・耳下腺マッサージ
耳下腺は耳の前下方(上の奥歯のあたり)にあります。
人差し指、中指で円を描くように軽く10回マッサージします。

・顎下腺マッサージ
顎下腺は下顎の骨の内側、耳の下あたりにあります。
親指で前の方(顎の先の方向)に向かって軽く押しながら10回マッサージします。

・舌下線マッサージ
舌下線は下顎の先端の内側(舌の付け根)にあります。
親指で舌の付け根を軽く押しながら10回マッサージします。

 

いかがだったでしょうか。
唾液の重要性について知るきっかけになれば嬉しいです。
唾液が出づらい、口の中が乾くといった症状をお持ちの方は、
先程ご紹介した唾液腺マッサージを試してみてください!

他にもわからないことがあれば、気軽にご相談ください!
ご予約は24時間受付のWEB予約をぜひご利用下さい 😀

〈参考文献〉・基礎歯科生理学 第5版 医歯薬出版株式会社・老年歯科医学 医歯薬出版株式会社・摂食・嚥下リハビリテーション学 医歯薬出版株式会社