インプラント治療とは?基本を理解しよう
インプラント治療は、失った歯の代わりに人工の歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。チタン製のインプラント体が骨と結合することで、自分の歯に近い感覚と機能を取り戻すことができます。
歯を失ってしまうと、見た目だけでなく、食事や会話にも支障が出てきます。さらに、放置すると顎の骨が痩せていくという問題も起こります。

インプラントは、入れ歯やブリッジとは異なり、健康な歯を削る必要がなく、より自然な噛み心地を実現します。しかし、治療期間が長く、外科手術が必要なことから、メリット・デメリットをしっかり理解した上で選択することが大切です。
では、インプラント治療の具体的なメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
インプラントの7つのメリット
インプラント治療には、他の歯科治療法と比較して多くのメリットがあります。自分の状況に合っているかどうか、以下のポイントを参考にしてみてください。
1. 自分の歯のような噛み心地
インプラントの最大の魅力は、自分の歯と同じような感覚で食事ができることです。顎の骨に直接固定されるため、入れ歯のようなグラつきがなく、しっかりと噛むことができます。
硬いものでも問題なく噛めるため、食事の満足度が格段に上がります。患者さまからは「まるで自分の歯が戻ってきたようだ」という声をよく聞きます。
食べ物の味や食感をしっかり感じられるのも大きな利点です。入れ歯の場合、上あごを覆う部分が味覚を鈍らせることがありますが、インプラントではそのような問題はありません。
2. 健康な歯を削らなくて済む
ブリッジ治療では、失った歯の両隣の健康な歯を削って土台にする必要があります。これは健康な歯に負担をかけることになります。
一方、インプラントは独立して機能するため、周囲の健康な歯を削る必要がありません。これは長期的な口腔健康維持の観点からも大きなメリットといえるでしょう。
3. 審美性に優れている
インプラントは見た目の美しさにも優れています。人工歯には主にセラミックやジルコニアが使われるため、天然の歯と見分けがつかないほど自然な仕上がりになります。
特に前歯のインプラントでは、色調や形態を周囲の歯に合わせて製作するため、笑顔に自信が持てるようになります。入れ歯の金具が見えてしまう心配もありません。
4. 骨の痩せを防止できる
歯を失うと、その部分の顎の骨は刺激がなくなるため、徐々に痩せていきます。これを「骨吸収」と呼びます。骨が痩せると顔の形が変わったり、将来的な治療が難しくなったりする問題が生じます。
インプラントは骨に直接埋め込まれるため、噛む力が骨に伝わり、骨の痩せを防ぐ効果があります。これは長期的な口腔機能と顔の形態を維持するために非常に重要なポイントです。
5. 取り外しの手間がない
入れ歯は毎日取り外して洗浄する必要がありますが、インプラントは自分の歯と同じように口の中に固定されています。そのため、取り外しの手間がなく、日常生活がより快適になります。
特に就寝時に入れ歯を外す必要がないため、人前ではずかしい思いをすることもありません。これは精神的な安心感にもつながります。
6. 発音がクリアになる
入れ歯では「サ行」や「タ行」などの発音がしづらくなることがありますが、インプラントでは自分の歯に近い状態で発音できるようになります。
特に会話が多い仕事をされている方にとって、クリアな発音は大きなメリットです。患者さまからは「人前で話すのが楽しくなった」という声もよく聞かれます。
7. 長期的な安定性
適切なケアを行えば、インプラントは10年以上、場合によっては一生使用できる可能性があります。近年の研究では、10年後の生存率が95%という報告もあります。
もちろん、定期的なメンテナンスは必要ですが、長期的な視点で見ると、何度も治療をやり直す必要がないという点で経済的にもメリットがあるといえるでしょう。
インプラントの5つのデメリット
インプラントには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。治療を検討する際には、これらのデメリットもしっかりと理解しておくことが大切です。

1. 治療費が高額
インプラント治療は保険適用外の自由診療となるため、費用が高額になります。1本あたり30万円〜50万円程度かかるのが一般的で、複数本の治療が必要な場合はさらに費用がかさみます。
ただし、歯科医院によって料金設定は異なりますので、事前にしっかりと確認することが重要です。また、医療費控除の対象になるため、確定申告を行うことで一部の費用が戻ってくる可能性もあります。
2. 治療期間が長い
インプラント治療は、埋入したインプラント体と骨が結合するのを待つ必要があるため、治療完了までに3ヶ月〜半年以上かかることが一般的です。骨の状態によっては、さらに長期間を要する場合もあります。
特に骨が少ない場合には、骨造成という骨を増やす手術が必要になることもあり、その場合はさらに治療期間が延びます。すぐに治療を完了させたい方にとっては、この長い治療期間がデメリットになるでしょう。
3. 外科手術が必要
インプラント治療では、顎の骨にインプラント体を埋め込む外科手術が必要です。局所麻酔を使用するため痛みは抑えられますが、手術後には腫れや痛みが生じることがあります。
また、手術に対する不安や恐怖感を持つ方もいらっしゃいます。ただし、現在の技術では、できるだけ負担の少ない手術方法も開発されていますので、不安な方は歯科医師に相談してみるとよいでしょう。
4. 全身疾患がある場合は制限がある
糖尿病や骨粗しょう症、心臓疾患などの全身疾患がある場合、インプラント治療が受けられないケースや、特別な注意が必要なケースがあります。また、喫煙者はインプラントの成功率が低下するという研究結果もあります。
治療前には必ず全身の健康状態を確認し、インプラント治療が適しているかどうかを歯科医師と相談することが重要です。
5. メンテナンスが必須
インプラントを長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。毎日の丁寧な歯磨きはもちろん、3ヶ月に一度の定期検診を受ける必要があります。
メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎という炎症が起こり、最悪の場合はインプラントがロストしてしまうリスクもあります。長期的な維持管理の手間とコストも考慮に入れる必要があるでしょう。
インプラント治療で起こりうるトラブル
インプラント治療は高い成功率を誇りますが、いくつかのリスクやトラブルが発生する可能性があります。事前に知っておくことで、適切な対応や予防が可能になります。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎は、インプラント周囲の歯肉や骨に炎症が起こる状態です。歯周病に似た症状で、放置すると骨の吸収が進み、最終的にはインプラントがロストしてしまう可能性があります。
主な原因は不十分な口腔清掃です。毎日の丁寧な歯磨きと定期的なプロフェッショナルクリーニングが予防の鍵となります。初期症状として歯肉の腫れや出血がある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
神経損傷のリスク
下顎の奥歯にインプラントを埋入する際、近くを通る神経を損傷してしまうリスクがあります。神経を傷つけると、唇や舌のしびれ、味覚障害などの症状が現れることがあります。
このリスクを避けるためには、術前のCT撮影による詳細な診断が不可欠です。当院では高性能のデンタルCT撮影装置を導入し、神経の位置を正確に把握した上で安全な手術を行っています。
骨との結合不全
インプラント体と骨がしっかりと結合しない「オッセオインテグレーションの失敗」が起こることもあります。これは、骨の質や量、全身疾患、喫煙習慣などが影響します。
特に喫煙者は非喫煙者に比べてインプラントの失敗率が約2倍高いという研究結果もあります。治療の成功率を高めるためには、術前の全身状態の管理や、必要に応じて禁煙することも重要です。
後悔しないインプラント選びのポイント
インプラント治療で後悔しないためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。治療前にしっかりと確認し、納得した上で治療を始めましょう。
信頼できる歯科医院選び

インプラント治療の成功は、歯科医師の技術と経験に大きく左右されます。専門的な知識と豊富な経験を持つ歯科医師を選ぶことが何よりも重要です。
当院では、ITIスペシャリスト(インプラント認定医)の資格を持つ歯科医師が治療を担当しています。また、高性能のデンタルCT撮影装置を導入し、精密な診断に基づいた安全な治療を心がけています。
歯科医院を選ぶ際は、インプラント治療の実績や症例数、使用するインプラントのメーカー、アフターケアの体制なども確認するとよいでしょう。
治療計画と費用の明確化
インプラント治療を始める前に、治療計画と費用について詳しい説明を受けることが大切です。どのような手順で治療が進むのか、どのくらいの期間がかかるのか、総費用はいくらになるのかを明確にしておきましょう。
また、治療中に追加費用が発生する可能性についても確認しておくことが重要です。当院では、治療前に詳細な見積もりを提示し、患者さまが納得した上で治療を開始しています。
保証制度の確認
インプラント治療には保証制度を設けている歯科医院も多くあります。何年間保証があるのか、どのような条件があるのかを事前に確認しておくことで、万が一のトラブル時も安心です。
ただし、保証を受けるためには定期的なメンテナンスを受けることが条件になっていることが多いので、その点も含めて確認しておきましょう。
自分の生活習慣の見直し
インプラント治療の成功には、患者さま自身の生活習慣も大きく関わります。特に喫煙は、インプラントの成功率を低下させる大きな要因です。
また、糖尿病などの全身疾患がある場合は、適切にコントロールすることが重要です。治療前に自分の生活習慣を見直し、必要に応じて改善することも、後悔しないインプラント治療のポイントといえるでしょう。
非抜歯矯正とインプラント治療の関係性

非抜歯矯正とインプラント治療は、一見別々の治療法のように思えますが、実は密接な関係があります。両者を適切に組み合わせることで、より良い治療結果を得られることもあります。
非抜歯矯正の考え方
非抜歯矯正は、その名の通り歯を抜かずに歯並びを整える矯正治療法です。当院では「MEAW(Multiloop Edgewise Arch Wire)」という矯正システムを採用し、なるべく歯を抜かない矯正治療を推奨しています。
健康な歯を残すことは、将来的な口腔機能の維持にとって非常に重要です。一度抜いた歯は二度と戻ってきません。非抜歯矯正の考え方は、可能な限り自分の歯を残すという点で、インプラント治療の考え方とも共通しています。
インプラント支援型矯正治療
インプラントは、矯正治療の固定源(アンカー)として利用されることもあります。これを「インプラント支援型矯正治療」と呼びます。小さなインプラントを一時的に埋入し、矯正装置の固定点として利用することで、より効果的な歯の移動が可能になります。
特に複雑な症例や、従来の矯正治療では難しいとされていた症例でも、インプラント支援型矯正治療によって良好な結果が得られることがあります。
矯正治療後のインプラント
先天的に歯が欠損している場合や、事故などで歯を失った場合、矯正治療でスペースを確保した後にインプラント治療を行うことがあります。矯正治療によって適切な空間を作り、その後インプラントを埋入することで、より自然で機能的な歯列を再建できます。
このように、矯正治療とインプラント治療は、単独で行うよりも、適切に組み合わせることでより良い治療結果につながることがあります。総合的な治療計画を立てることの重要性がここにあります。
まとめ:インプラント治療で後悔しないために
インプラント治療は、失った歯の機能と審美性を回復するための優れた治療法です。自分の歯のような噛み心地、健康な歯を削らなくて済む、審美性に優れているなど、多くのメリットがあります。
一方で、治療費が高額、治療期間が長い、外科手術が必要といったデメリットもあります。これらのメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、自分に合った選択をすることが大切です。
後悔しないインプラント治療のためには、信頼できる歯科医院選び、治療計画と費用の明確化、保証制度の確認、自分の生活習慣の見直しなどのポイントを押さえることが重要です。
当院では、患者さま一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を提案し、安心・安全なインプラント治療を提供しています。また、非抜歯矯正とインプラント治療を適切に組み合わせることで、より良い治療結果を目指しています。
インプラント治療をご検討の際は、ぜひ一度当院にご相談ください。豊富な経験と最新の設備で、皆様の健康な歯と美しい笑顔をサポートいたします。
監修者情報
鈴木 聡(すずき さとし)先生
医療法人社団 緑幸会 登戸クローバー歯科・矯正歯科 理事長

略歴
広島大学歯学部卒業後、複数の歯科医院で研鑽を積み、幅広い症例に対応。現在は神奈川県川崎市にある「登戸クローバー歯科・矯正歯科」の院長を務めるとともに、登戸・東京都世田谷区桜新町に分院を展開しており、統括する医療法人社団 緑幸会の理事長として、地域の歯科医療に貢献している。
専門分野
矯正歯科・インプラント治療・審美歯科
特に、抜歯に頼らない「非抜歯矯正」や、目立ちにくい「マウスピース矯正(インビザライン)」に注力し、見た目と機能の両立を図る治療に力を入れている。
所属学会等
- 日本矯正歯科学会 会員
- 日本口腔インプラント学会 会員
監修者からのひとこと
患者さまの「見た目」と「噛める機能」の両立を大切にし、年齢やライフスタイルに合わせた矯正治療を心がけています。大人の方でも安心して始められる治療法をご提案いたします