6月4日は「虫歯予防デー」――今こそ歯の健康を見直すチャンス!
毎年6月4日は「虫歯予防デー」として、日本全国でお口の健康に関する啓発活動が行われています。これは「6(む)4(し)」という語呂合わせから生まれた記念日で、厚生労働省や日本歯科医師会を中心に、「歯と口の健康週間(6月4日〜10日)」としても広く取り組まれています。

虫歯(正式には「う蝕」と呼ばれます)は、身近な病気であると同時に、進行すると日常生活に大きな支障をきたす深刻な疾患でもあります。食事中の痛み、冷たいものや甘いものへのしみ、口臭、さらには歯の喪失や咀嚼機能の低下など、さまざまな影響を及ぼします。

虫歯はなぜできるの?
虫歯の原因は、お口の中に常在している細菌(特にミュータンス菌)が、食べ物に含まれる糖分をエサにして酸を作り出し、その酸が歯を溶かしてしまうことによります。これを「脱灰(だっかい)」と呼びます。初期段階では自覚症状がなくても、気づかないうちに進行し、やがて歯に穴が開き、痛みを伴うようになります。
一方、私たちの唾液には、溶けた歯を修復する「再石灰化」という働きもあります。つまり、虫歯は予防できる病気なのです。
虫歯予防の基本
虫歯を予防するためには、毎日の正しいセルフケアが欠かせません。以下の点を意識しましょう。
1. 歯みがきは1日2~3回、丁寧に
特に寝る前の歯みがきは大切です。歯と歯の間や奥歯の溝など、磨き残しが出やすい場所は、デンタルフロスや歯間ブラシの活用も効果的です。
2. フッ素を取り入れる
フッ素は再石灰化を助け、歯を酸に強くしてくれる成分です。フッ素入りの歯みがき粉を使いましょう。定期的に歯科医院でフッ素塗布を受けるのもおすすめです。
3. 間食や甘い飲み物のとり方に注意
食事やおやつの時間がダラダラ長くなると、口の中が酸性になっている時間が長くなり、虫歯リスクが高まります。時間を決めてとる習慣が大切です。
4. 定期的な歯科検診
自覚症状がなくても、年に1〜2回は歯科医院でのチェックを受けましょう。初期の虫歯は削らずに済むこともありますし、歯石除去やクリーニングで予防効果も高まります。
虫歯を放っておくと…
虫歯を初期の段階で見つけて対処できれば、治療も最小限で済みます。しかし進行すると、神経まで達して激しい痛みが生じたり、根っこの治療(根管治療)が必要になったりします。最終的には歯を抜かざるを得ないこともあり、ブリッジや入れ歯、インプラントなどの高額な補綴治療が必要になるケースも少なくありません。
虫歯は「自然に治ることはない」病気です。放置するほどダメージが大きくなるため、予防第一・早期発見が最良の対策です。
子どもから高齢者まで、生涯続けたい「歯の健康習慣」
虫歯は子どもだけの病気ではありません。高齢になると、歯ぐきが下がって歯の根が露出しやすくなり、「根面う蝕」と呼ばれる新たなタイプの虫歯が増加します。また、口の乾燥や体の不調で清掃が不十分になることもリスク要因になります。
年齢に応じたケアを継続することが、生涯自分の歯で食べ、話し、笑うためのカギになります。
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最後に:虫歯予防は未来の自分への贈り物
「虫歯の日」は、ただの記念日ではありません。この機会にご自身やご家族の歯の健康を見直してみませんか?
歯は、食べる・話す・笑う・生きるために欠かせない存在です。
毎日の小さな習慣が、将来の大きな安心につながります。
一緒に、お口の健康を守っていきましょう!
歯科医師 川端