口臭セルフチェック~自宅でできる5つの簡単な方法と対策
口臭の原因と自分でできるセルフチェックの重要性
口臭は誰にでも起こりうる現象です。朝起きた時の口の中のネバつき感や、大事な商談前の緊張からくる口の乾き。
近年、口内環境ケアへの関心が高まっていることから、口臭を気にする方が増えています。口臭はただのエチケット問題ではなく、歯周病や全身の健康状態を反映するサインかもしれないのです。

歯科医師として患者さんと向き合ってきた経験から言えることは、口臭の約80%以上は口腔内に原因があるということです。つまり、適切なケアで改善できる可能性が高いのです。
しかし、自分の口臭は自分では気づきにくいものです。これは「嗅覚順応」という現象によるもので、自分の匂いに慣れてしまうためです。
だからこそ、定期的なセルフチェックが重要になります。
この記事では、自宅で簡単にできる口臭のセルフチェック方法と、効果的な対策について詳しく解説します。口臭の悩みを解消して、自信を持って人と接することができるようになりましょう。
口臭の主な種類と原因を理解しよう
口臭対策を始める前に、まずは口臭の種類と原因を理解することが大切です。口臭は大きく分けて3つのタイプに分類されます。
生理的口臭、病的口臭、外因的口臭です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. 生理的口臭 – 誰にでも起こりうる自然な口臭
生理的口臭は健康な方でも経験する自然な現象です。起床直後や空腹時、緊張している時に強くなる傾向があります。
これは主に唾液の分泌量が減少することで口腔内が乾燥し、細菌が増殖しやすくなるためです。細菌が増殖すると、口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物が生成されます。
また、生活習慣の乱れや体調不良、ストレス、女性の場合はホルモンバランスの変化なども口臭を引き起こす要因になります。
生理的口臭は他人を不快にさせるほどの強い臭いではなく、適切な口腔ケアや食事で軽減できることが特徴です。
2. 病的口臭 – 口腔内や全身の疾患による口臭
病的口臭は、口腔内の疾患や全身の病気が原因で発生します。特に歯周病や虫歯は口臭の大きな原因となります。
虫歯が進行すると、歯の神経に含まれるタンパク質が腐敗を始め、不快な腐敗臭のような匂いを発します。さらに、虫歯菌自体も異臭を生み出します。
歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどないため気づきにくいのですが、進行すると歯と歯茎の間に「歯周ポケット」が形成され、そこに細菌が繁殖します。
重症化すると歯茎からの出血や膿が臭いを強め、特に「メチルメルカプタン」という血の匂いや腐敗臭に似た強い口臭の原因となるガスを発生させます。
また、糖尿病などの全身疾患も口臭に影響を与えることがあります。
3. 外因的口臭 – 食べ物や生活習慣による口臭
外因的口臭は、食品や飲料、喫煙などの外的要因により生じる口臭です。
ニンニクやニラ、ネギ、納豆など強い匂いがある食べ物を摂取すると、その成分が消化吸収され血液を通じて肺に運ばれ、呼気に影響を与えて口臭が発生します。
コーヒーやアルコールの摂取も口腔内環境を変化させ、口臭の原因となります。
タバコに含まれる成分も口内に留まり、独特の臭いを生じさせる要因です。
あなたはどのタイプの口臭に心当たりがありますか?
自宅でできる5つの口臭セルフチェック方法
口臭が気になるけれど、なかなか人には聞きづらいものですよね。そこで役立つのが、自宅で簡単にできるセルフチェック方法です。
以下に紹介する5つの方法を試して、自分の口臭の状態を把握しましょう。
1. 唾液の匂いをチェックする方法
最も簡単なセルフチェック方法は、自分の唾液の匂いを確認することです。口臭がある人は唾液自体に強い匂いがある場合が多いのです。
手をきれいに洗った後、舌の上や歯と歯茎の溝部分を指で触り、付いた唾液の匂いを嗅いでみてください。
もし唾液が臭うようであれば、それが乾燥して口臭の原因になっている可能性が高いでしょう。
このチェックは毎日同じ条件で行うことが重要です。おすすめは「起床後の歯を磨く前」のタイミングです。このタイミングであれば、他の条件に左右されずに唾液の匂いを確認できます。
2. コップやビニール袋を使った呼気チェック
清潔なビニール袋やコップに息を吹き込み、一度口を閉じてから匂いを嗅ぐ方法も効果的です。

不快な匂いを感じたら、それは口臭の可能性が高いです。この方法は客観的に自分の息の匂いを確認できる点で優れています。
なるべく正確に匂いをチェックするためにも、使用するビニール袋やコップは清潔で無臭のものを使いましょう。
3. 舌の表面をチェックする方法
鏡を見て舌の表面を確認してみてください。舌に白〜黄色っぽいコケのようなものがついていたら、口臭がある可能性が高いです。
このコケのようなものは「舌苔(ぜったい)」と呼ばれ、口内の食べカスや粘膜、細菌などで構成されています。舌苔が堆積すると口臭の原因になります。
歯磨きの習慣が少ない方、ストレスが溜まっている方、口呼吸の方などは舌苔が溜まりやすい傾向があります。
4. デンタルフロスの匂いをチェックする方法
デンタルフロスを使用した後、そのフロスの匂いを嗅いでみるのも効果的な方法です。
使用後のデンタルフロスが臭うようであれば、歯と歯の間に食べかすや細菌が溜まっており、口臭の原因になっている可能性が高いです。
普段からデンタルフロスを使っているのであれば、簡単にチェックできる方法なので一度試してみることをおすすめします。
5. 口臭チェッカーを使用する方法
より客観的に口臭の度合いを知りたい場合は、市販の口臭チェッカーを利用する方法があります。
口臭チェッカーは、息を吹き込むことで口臭の原因物質である「揮発性硫黄化合物」を測定し、匂いの度合いを数値化・表示してくれます。
家電量販店やドラッグストアで購入できるので、自分の口臭を客観的に知りたい方は試してみると良いでしょう。
これらのセルフチェック方法を定期的に行うことで、自分の口臭の状態を把握し、早めの対策を取ることができます。
効果的な口臭対策と予防法
口臭の状態を把握したら、次は効果的な対策を実践しましょう。口臭を改善するためには、原因に応じた適切なケアが必要です。
ここでは、日常生活で実践できる口臭対策と予防法を紹介します。
正しい口腔ケアの実践
口臭対策の基本は、正しい口腔ケアです。以下の3つのステップを日常的に実践しましょう。
まず、歯磨きは1日2回以上、特に就寝前には丁寧に行いましょう。歯ブラシは45度の角度で歯と歯茎の境目を意識して磨くことが重要です。
次に、デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間の汚れを除去します。歯ブラシだけでは届かない部分の汚れを取り除くことで、口臭予防に効果的です。
最後に、舌専用ブラシで舌苔を除去します。舌の奥から手前に向かって優しく掃くようにしましょう。力を入れすぎると舌を傷つける可能性があるので注意が必要です。
歯磨き粉は、口臭予防に効果的な成分が含まれているものを選びましょう。イソデシルガラクトシド液、ラウロイルサルコシンNa、塩化セチルピリジニウムなどの成分が配合されたものがおすすめです。
唾液の分泌を促進する方法
唾液には自浄作用や抗菌作用があり、口臭予防に重要な役割を果たします。唾液の分泌を促進するために以下の方法を試してみましょう。
唾液腺マッサージは効果的な方法の一つです。耳の下から顎にかけて、また顎の下から喉にかけて、優しく円を描くようにマッサージします。
よく噛んで食べることも唾液の分泌を促します。一口あたり30回程度を目安に、ゆっくりとよく噛んで食事をしましょう。
また、こまめな水分補給も大切です。特に起床時や食後に水を飲むことで、口腔内を清潔に保つことができます。
一方で、コーヒーやアルコール、タバコなどは口腔内を乾燥させるため、できるだけ控えることをおすすめします。
食事と生活習慣の見直し
食事内容や生活習慣も口臭に大きく影響します。以下のポイントを意識して生活習慣を見直しましょう。
緑茶に含まれるカテキンには消臭効果や抗菌作用があり、口臭予防に効果的です。日常的に緑茶を飲む習慣をつけると良いでしょう。

キシリトール配合のガムを噛むことも効果的です。キシリトールには細菌の活動を抑える効果があり、また噛むことで唾液の分泌も促進されます。
野菜や食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取し、バランスの良い食事を心がけましょう。特に、ビタミンCを多く含む食品は口内環境を整えるのに役立ちます。
十分な睡眠とストレス管理も重要です。睡眠不足やストレスは唾液の分泌を減少させ、口臭を悪化させる要因となります。
定期的な歯科検診の重要性
セルフケアだけでは取り除けない歯石や、初期段階の虫歯・歯周病を早期発見するためには、定期的な歯科検診が欠かせません。
少なくとも半年に1回は歯科医院でのクリーニングと検診を受けることをおすすめします。
特に歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期検診で早期発見することが重要です。
また、口臭が気になる場合は、歯科医師に相談してみましょう。口臭外来を設けている歯科医院もあります。
私たち登戸グリーン歯科・矯正歯科では、口腔内環境の総合的な診断と、患者さん一人ひとりに合わせた口臭対策のアドバイスを行っています。
口臭が改善しない場合の対処法
適切なセルフケアを続けているにもかかわらず口臭が改善しない場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があります。
このような場合は、専門医への相談が必要です。
歯科医院での専門的な検査と治療
口臭が改善しない場合は、まず歯科医院を受診しましょう。歯科医院では以下のような専門的な検査と治療が行われます。
口腔内の詳細な検査では、虫歯や歯周病、歯石の蓄積などを確認します。必要に応じてレントゲン撮影やCT検査を行うこともあります。
専用の機器を使った口臭測定では、口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物の濃度を正確に測定します。これにより、口臭の程度や原因を客観的に評価することができます。
検査結果に基づいて、PMTC(専門的機械的歯面清掃)や歯石除去、虫歯や歯周病の治療など、適切な治療計画が立てられます。
また、正しい歯磨き方法や舌のケア方法など、自宅でのケア方法についても指導を受けることができます。
内科や耳鼻科など他科との連携
口腔内に明らかな問題がない場合は、全身疾患や耳鼻科領域の疾患が原因となっている可能性があります。
糖尿病や肝臓・腎臓疾患、胃腸の問題などが口臭の原因となることもあります。このような場合は内科での検査が必要です。
副鼻腔炎や扁桃炎などの耳鼻科疾患も口臭の原因となることがあります。鼻づまりや喉の痛みなどの症状がある場合は、耳鼻科を受診しましょう。
歯科医師は必要に応じて他科の専門医と連携し、総合的な診断と治療を行います。
登戸グリーン歯科・矯正歯科では、患者さんの状態に応じて適切な医療機関をご紹介し、連携して治療を進めています。
心因性口臭症への対応
実際には口臭がないか、あっても生理的範囲内であるにもかかわらず、強い口臭があると悩む「心因性口臭症」というケースもあります。
このような場合は、口臭測定器による客観的な評価と、丁寧なカウンセリングが重要です。
必要に応じて心療内科や精神科と連携した治療を行うこともあります。
口臭の悩みは精神的な負担が大きいものです。一人で悩まず、まずは専門家に相談することをおすすめします。
まとめ:自信を持って笑顔になるために
口臭は誰にでも起こりうる現象ですが、適切なケアと対策で改善・予防することができます。
この記事で紹介した5つのセルフチェック方法を活用して、自分の口臭の状態を把握しましょう。唾液チェック、コップやビニール袋を使った呼気チェック、舌の表面チェック、デンタルフロスの匂いチェック、口臭チェッカーの使用など、自宅で簡単に実践できる方法です。
そして、正しい口腔ケア、唾液分泌の促進、バランスの良い食事と生活習慣の見直し、定期的な歯科検診など、効果的な対策を継続的に行うことが大切です。
特に、歯磨き、舌のケア、デンタルフロスの使用という3つのステップは、毎日の習慣として取り入れることをおすすめします。
もし自己対策で改善しない場合は、歯科医院での専門的な検査と治療を受けましょう。必要に応じて他科との連携も行われます。
口臭の悩みを解消することで、人との会話や交流がより楽しく、自信を持って笑顔になることができるでしょう。
登戸グリーン歯科・矯正歯科では、患者さん一人ひとりの口腔内環境に合わせた総合的な診断と治療を行っています。口臭でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
詳しい情報や予約については、登戸クローバー歯科・矯正歯科の公式サイトをご覧ください。あなたの健やかな口腔環境と素敵な笑顔をサポートいたします。
登戸クローバー歯科・矯正歯科
歯科医師 渡辺紘子




