小児期から始める口腔機能の育成 ~口腔機能発達不全症と食育の重要性~
ご存知ですか?「口腔機能発達不全症」
近年、「口腔機能発達不全症」という言葉が注目されています。
これは、食べる・話す・呼吸するといったお口の機能が十分に発達していない状態を指します。
硬いものを食べたがらない、口がいつも開いている、発音が不明瞭などの症状が見られることがあります。
口腔機能は幼少期に獲得され、その後の歯並びや顎の成長、さらには生涯にわたる健康にも大きく関わります。
特に食育は、栄養だけでなく「噛む力」や「飲み込む力」を育てる大切な役割を担っています。
今回は、口腔機能発達不全症と食育の重要性についてご紹介します。
口腔機能発達不全症とは?
口腔機能発達不全症とは、病気や障害が原因ではなく、食べる・話す・呼吸するといった口腔機能が十分に発達していない状態をいいます。
例えば次のような特徴がみられます。
- 硬いものを食べたがらない
- 食べるのが極端に早い、または遅い
- 食事中に音を立てて食べる
- 発音が不明瞭で聞き取りにくい
- 口がいつも開いている
- 口呼吸が習慣になっている
- 舌の使い方や飲み込み方に癖がある
これらは単なる個性や癖として見過ごされがちですが、歯並びや顎の発達、全身の健康にも影響する可能性があります。
食べる機能はどのように発達するのか
赤ちゃんは生まれた時から噛めるわけではありません。
まずは母乳やミルクを飲むことから始まり、離乳食を通して徐々に食べる機能を学習していきます。
離乳期
離乳期はおおよそ生後5か月頃から18か月頃までとされ、この時期に舌や唇、頬、顎を使いながら「取り込む」「噛む」「飲み込む」という一連の動作を身につけていきます。
成長段階に応じた食事を経験する
咀嚼運動は1歳半頃から始まり、乳歯列が完成する3歳頃以降に成熟していきます。
この時期に様々な硬さや食感を経験することで、噛む力や飲み込む力が発達し、顎の成長も促されます。
そのため、食べやすい柔らかいものばかりではなく、成長段階に応じた食事を経験することが大切です。

なぜ小児期の口腔機能が重要なのか
口腔機能は一生同じではありません。
一般的には20代前後でピークを迎え、その後徐々に低下し、65歳頃から機能低下が目立つようになります。
しかし、高齢になってから機能低下を防ぐことだけが重要なのではありません。
子どもの頃にしっかりとした口腔機能を獲得しておくことで、高いレベルの機能を維持しやすくなります。
一方、成長期に十分な機能を獲得できなかった場合、本来到達できるはずだった機能レベルが低くなり、その後の人生にも影響を与える可能性があります。
つまり、将来の口腔機能低下を予防するためには、高齢期だけでなく幼少期からの取り組みが重要なのです。
食育が果たす大切な役割
食育というと栄養バランスを考えることをイメージされる方が多いかもしれません。
しかし歯科における食育は、お口の機能を育てるという重要な意味も持っています。
- よく噛んで食べる
- 様々な食感を経験する
- 正しい姿勢で食事をする
- 口を閉じて食べる
- 家族と楽しく食事をする
こうした経験の積み重ねが、口腔機能の発達につながります。
現代は柔らかい食品が多く、昔に比べて噛む回数が減っているといわれています。
噛む刺激は顎の骨や筋肉の発達を促し、歯並びやかみ合わせにも影響します。
食事は単なる栄養補給ではなく、お口を育てる大切なトレーニングの場なのです。
当院では管理栄養士も複数人在籍しております。一緒にどのようにアプローチできるか考えていきましょう。
将来の口腔機能の維持のために
口腔機能発達不全症は、食べる・話す・呼吸するといった生きるために欠かせない機能の発達不足を指します。幼少期の口腔機能は、その後の歯並びや顎の成長だけでなく、生涯にわたる健康にも関わります。
特に成長期は、噛む力や飲み込む力を身につける大切な時期です。
この時期に適切な食育や生活習慣を身につけることで、将来の口腔機能の維持につながります。
当院では、むし歯や歯並びだけでなく、お子さまの食べ方や飲み込み方、呼吸の仕方、お口の癖なども含めて診察しています。
「口がぽかんと開いている」「硬いものを食べたがらない」「食べるのに時間がかかる」
など気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
お子さまの健やかな成長を、お口の健康からサポートしていきます。
歯科医師 渡辺


