• 非抜歯矯正の症例

    投稿者:clover

    こんにちは。歯科医師の鈴木志野です。

    今回はブラケット矯正の実症例をつかって当院で行っている非抜歯矯正を説明したいと思います。

    症例ケース

    年齢:50歳

    性別:男性

    主訴:上の前歯のガタガタが気になる

    診断:前歯の叢生 右側二級咬合 

    治療方法:ブラケット矯正

    治療期間:1年1ヶ月

    治療費用:773000円(矯正基本料+月の調整量+リテーナー費)

     

    初診時の状態です

     

    右上の前歯が内側に倒れて一本のみ反対咬合になっています。

    また上下共に歯列幅がせまくV字型弓といわれる状態です。

    また左の噛み合わせは正常ですが右の歯に関しては奥歯の噛み合わせが上の歯が半分ずつ前にでている二級咬合とよばれる状態です。

    この写真から分かる問題点は5つあります。

    右上の2番目が内側に倒れていて、3本の歯が重なりあって内側に閉じ込められている

    上下の歯が並んでいる歯列がV字型になっていること。きれいな歯並びは楕円形でU字型です。

    奥歯がすべて前に倒れている

    右側の奥歯の噛み合わせが一本分前にでている(これにより前歯のスペースがなくなり叢生が生じています。)

    写真ではわかりませんが、レントゲンで親知らずが4本ある状態

    患者さんの希望はできるだけ非抜歯での矯正したいとのことでした。

    一般的な矯正であれば抜歯矯正になりますが当院の矯正であれば上記の問題点を治療することで非抜歯で治すことが可能です。

    そこで4本の親知らずに関してはレントゲンにより傾いていること、また奥歯を奥に動かすときに引っかかってしまうのでお口で見えている歯は抜かずに親知らずのみ抜歯し矯正をスタートしました。

    矯正を初めて3カ月後

     

    矯正を初めて3ヶ月の写真になります。

    下の歯並びはこの段階でかなりきれいになったのがわかると思います。

    右上の2番目の歯は奥に閉じ込められていたためこの段階ではまだ内側にいます。

    上下歯列幅を広がっています。

    本来だと歯並びをよくすると前歯も前に出てしまうのですが、親知らずを抜いていて、かつ奥歯を奥に動かしているおかげで前歯は大きく前に出ず、全体的にバランス良く広がってくれました。

    矯正を初めて5カ月後

     

    矯正を始めて5ヶ月の写真になります。

    さらに2ヶ月たったお写真になります。

    上の前歯に隙間ができて歯がきれいに並んだことがわかると思います。

    上下別々にみると矯正前と比べて綺麗になりました。

    しかし矯正は見た目の問題点だけではなく上下の噛み合わせも大切です。

    この段階の残された問題は

    奥歯が噛んでいるのに関わらず上下の前歯に

    隙間がある

    上の歯の幅が左右でみると対象ではない

    右側の噛み合わせがまだ一本対二本で噛めていない

    そこでゴムメタルというワイヤーを使い上下の噛み合わせを左右で整え、噛むように調整していくことにしました。

    矯正を初めて7ヶ月後

     

    矯正を始めて7ヶ月の写真になります。

    ゴムメタルを使い始めて2ヶ月の写真です。

    前歯が噛めるようになりました。

    矯正前は左右の幅にズレがありましたが、バランスよく左右均等になりました。

    奥歯の噛み合わせも一本対二本で噛めていていい状態です。

    この状態でもいい状態ですがこの後さらに細かい修正をしていきます。

    矯正終了後

     

    矯正終了後の写真です。

    ワイヤーを外した状態になります。

     

    歯並びも噛み合わせもすごくきれいになり一年1ヶ月かかった矯正が終了しました。

    矯正前の叢生(ガタガタ)はとれ、奥歯の噛み合わせは一本対二本で噛めている一級(理想の噛み合わせ)です。

    最後は前歯の裏側に舌側ワイヤーをつけて、寝る時だけ使うリテーナーを使っていただくことになりました。


    いかがだったでしょうか?
    歯並びや噛み合わせでお悩みでしたら是非矯正相談にいらしてください!!
    矯正相談のご予約はお電話(044-933-8239)にて受け付けておりますので

    お待ちしております 😀 

    治療やクリーニングのご予約は24時間受付のこちらからどうぞ 😀 

  • 口腔機能発達不全症

    投稿者:clover

    こんにちは!歯科医師の市川です 😀

    突然ですが、みなさんは「口腔機能発達不全症」という言葉を聞いたことがありますか?

    あまり馴染みのない言葉なので知らない方がほとんどだと思います。

    今回は「口腔機能発達不全症」がどいったものなのか簡単にお話していこうと思います。

     

    ☆口腔機能発達不全症とは

     

    病気や障害がないにもかかわらず、食べたり、話したりするために必要な
    お口まわりの筋肉が十分に発達せず、正常に機能していない状態を指します。

    その状態を放置してしまうと、顎の成長が阻害されて歯並びや噛み合わせが悪くなったり、
    気道が狭くなり口呼吸(※鼻呼吸が正常な状態)になったり、
    十分に栄養を摂取できなかったりと全身に悪影響を及ぼします。

    顎の成長 口呼吸 噛み合わせ

    ☆チェックリスト

     

    「口腔機能発達不全症」のチェックリストは

    「食べる機能」
    「話す機能」
    「その他の機能」

    と3つの項目から診断していきます。

     

    ◎離乳完了前

     

    〈食べる機能〉
    ・哺乳に関して先天性歯(生まれた時から生えている歯や生後1か月以内に生えた歯)があるか、
    唇や歯槽(歯を支えている骨)の形態に異常があるか、
    舌小帯(舌の裏側にあるひだ)に異常があるか、
    乳首をしっかり口に含められるか、授乳時間が長すぎたり短すぎたりしないか、
    哺乳量・授乳回数が多すぎたり少なすぎたりムラがあるか

    ・離乳に関して首の据わりが確認できない、スプーンを舌で押し出す、離乳が進まない

    〈話す機能〉
    ・構音(発音)機能に関して安静時に口がポカンと開いているか

    〈その他の機能〉
    ・栄養(体格)に関して痩せまたは肥満であるか ※体重(g)と身長(㎝)で
    評価・その他に関して口まわりに過敏があるか

    ◎離乳完了後

     

    〈食べる機能〉
    ・咀嚼(噛む)に関して歯の生え変わりに遅れがあるか、
    歯列や噛み合わせの異常があるか、噛むのに影響する虫歯があるか、
    強く嚙みしめられない、噛む時間が長すぎたり短すぎたりしてないか、
    左右均等に噛めているか・嚥下(飲みこみ)に関して舌を前に突き出す癖がみられるか

    ・食行動に関して哺乳量・食べる量、回数が多すぎたり少なすぎたりとムラがあるか

    〈話す機能〉
    ・構音(発音)に関して発音に障害があるか、安静時に口がポカンと開いているか、
    口腔習癖(指しゃぶりや舌を前に突き出す等)があるか、
    舌小帯(舌の裏側にあるひだ)に異常があるか

    〈その他の機能〉
    ・栄養(体格)に関して痩せまたは肥満であるか ※体重(g)と身長(㎝)で評価

    ・その他に関して口呼吸があるか、扁桃腺が肥大していないか、
    寝ている時にいびきをかいているか

    〈口唇閉鎖力検査〉
    測定機器を使って口の閉じる力を測定。
    口を閉じる力 口唇閉鎖力検査
    「食べる機能」「話す機能」において2つ以上該当すると
    「口腔機能発達不全症」と診断されます。

    ☆治療
    上記のチェックリストを行い、こちらで診断させていただきます。
    歯並びや噛み合わせの異常があれば、矯正の説明やご希望があれば
    お写真やレントゲン写真などの資料どりをさせていただき、矯正検査を行います。

    また、舌や唇がうまく機能していない場合は、ガムを使ったトレーニングや
    口を閉じるトレーニングを行い、定期的に歯科医院で管理していきます。
    唇を閉じる ガムトレーニング 口腔機能発達不全症

    「口腔機能発達不全症」は食事・栄養面も密接に関連しています。

    当院では管理栄養士もおりますので、
    栄養指導や食生活についてわからないことがあれば対応することが可能です。
    予防歯科 管理栄養士のいる歯科

    いかがだったでしょうか。
    少しでも気になったり、わからないことがあれば気軽にご相談ください。

    ご予約は24時間受付のこちらからどうぞ!

    【参考文献】 ・document-220512-1.pdf (jads.jp)
    ・リットレメーターMedical|トレーニング|オーラルアカデミー (oral-academy.com)

  • 口腔機能低下症

    投稿者:clover

    こんにちは!歯科医師の渡辺です 😀
    本日は口腔機能低下症についてお話させていただきたいと思います。

     

    健康への影響について

    超高齢社会の日本では平均寿命が男性81歳、女性87歳、
    健康寿命が男性72歳、女性75歳になりました。

    日本は平均寿命、健康寿命共に世界一ですが、
    その分その差も10年(世界33位)と大きいです。

    差が大きいということは介護の時間も必然的に長くなります。
    健康上問題なく生活ができる健康寿命も伸ばしていきたいですね。

    では年齢を重ねた時に健康へ影響するものは何が挙げられるでしょうか。

     

    オーラルフレイルとは


    メタボ(メタボリックシンドローム)

    皆さん一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

    主に中年期から気をつけるべき、内臓肥満による代謝異常が見られることです。

    それに対して歯科においては

    高齢期(65歳以上)から気をつけることとしてオーラルフレイルという言葉があります。

    和訳すると「口腔の虚弱」という意味です。

    これは厚生労働省によって提言されている言葉で、
    高齢者の口腔機能が健康な状態と障害が起きる間のことです。

    つまり完全に障害として、日常生活に支障をきたす前の段階であり、
    フレイル(虚弱)はまだリハビリによっては健康状態に戻ることができます。
    (=可逆性)逆にそのままにしておくと要介護に繋がります。
    口腔の虚弱 オーラルフレイル お口の健康

    加齢に伴って口腔機能が低下すると、充分な栄養がとれず、
    ゆくゆくは全身が弱くなり、健康状態を崩しやすくなります。

    東京都健康長寿医療センターの調べによると、フレイルは高齢者の中長期的な自立を失いやすい、
    つまり要介護になったり、死亡につながりやすいと言われています。

    口腔健康への関心が低い

    お口の小さなトラブルが起きる(咽せやすい、こぼしやすいなど)

    口腔機能の低下

    食事の機能障害(低栄養、運動障害など)

    心身の機能低下

    口腔健康 オーラルフレイル フレイルへの影響度
    自分自身やご家族の食事の様子はどうでしょうか。

    食べにくい野菜やお肉を残したりしていませんか?

    食事の時間が長くなったり、咽せやすくなっていませんか?

    滑舌が悪くなって話が聞きにくくなってませんか?

    このような症状がいくつか当てはまる方は口腔機能低下症かもしれません。

    予防はとても大事です!


    歯科では全部で7つの項目を調べて、診断をしています。

    ①口腔衛生状態不良
    ②口腔乾燥
    ③咬合力低下
    ④舌口唇運動機能低下
    ⑤低舌圧
    ⑥咀嚼機能低下
    ⑦嚥下機能低下

    それぞれの項目を検査し、7項目中3項目が基準値を下回ると口腔機能低下症と診断されます。
    美味しく食事をすることや楽しく人とお話をすることは生活をより豊かにしてくれます。

    食べて、飲み込んで、話すには元気なお口が必要です。

    歯医者に行って、今の状態を確認してみることもフレイル予防につながります!
    まずは自分の口腔内にのことに興味を持つことが第一歩ですね。

    お口は身体の入り口です。ぜひ来院をお待ちしております。

    ご予約はこちらからどうぞ! 😀

  • 歯ぎしりとストレスについて

    投稿者:clover

    こんにちは!歯科医師の渡辺です 😀

    今回の矯正セミナーでは咬合について主に学んできました。

    座学でそれぞれの歯の役割、歯ぎしりについて学び、実習もありました。
    自分自身が歯ぎしりをしているか調べられるマウスピースを作って、
    実際にはめてみて、自分の噛み合わせを咬合器につけて診断をしました。

     難しいことも多いですが、できるだけ日常の治療にリンクさせていきたいです。

     

     歯ぎしりの自覚 


    皆さんは自分が歯ぎしりをしていると指摘されたことはありますか?
    もしくは自分の歯ぎしりの音が聞こえて目が覚めるなど、
    自覚症状がある方もいらっしゃるかもしれません。

     

     またギリギリ音が鳴っていないから歯ぎしりをしていない
    と言うわけではありません。

     

     朝起きた時に顎周りが疲れていることはありませんか?
    私自身も疲れが溜まっている時は
    起床時に食いしばった状態で目覚める時があります。

     

    覚醒しながら力の限り噛み締めていて我ながら驚きます笑
    自分が歯軋りをしているかわかる装置として
    ブラックチェッカーというもの
    があります。

     

    ブラックチェッカーとは


    自分のマウスピースをつくり、夜寝ている間に装着します。
    朝起きてマウスピースを外すと
    噛み合って擦れたところは色が抜ける仕組みです。

     

     今回のセミナーで私も自分のものを作ってみました。

     

     私のブラックスチェッカーはこんな感じです。
    ブラックチェッカー 歯軋りチェック マウスピース

     

    ちなみに人から歯軋りを指摘されたことはありません!笑

     

     自分の自覚している以上に色が抜けていて、驚きました!

    しっかり歯ぎしりしている証拠ですね。

     

    骨格形態の分析


    またこの日は顎関節の動きの記録もとりました。
    キャディアックスという装置を使って骨格形態を分析し、
    下顎の動きを流れで把握することができます。
     口を開閉したり、左右に動かして下顎頭の動きを記録しました。
    その動き方の波形はパソコンに表示されます。

    骨格形成の分析 顎関節の動き キャディアックス

    顎の開き方に左右差がないか、クリック音 (関節円板を乗り越える音)
    がどのタイミングで鳴るかなどを見ます。

     

     私自身顎関節症状として、
    顎がカクカク鳴っていたので自覚はあったのですが、
    改めて図として見ることができて面白かったです。

     

     最後には自分の模型を咬合器にマウントしました。

     

     自分の歯並びの模型をとるのは久しぶりで改めて見ると、
    気になるポイントは多いですね。

     

     つい忘れがちですが、ナイトガード(歯軋りから守ってくれるマウスピース)
    しっかり装着していきたいと思います!

     

     歯ぎしりについて 


    グライディング
     上下の歯をギリギリとすり合わせること。
    クレンチング 無意識に歯を食いしばったり、力をこめること。
    タッピング 上下の歯をカチカチとならすこと。

     

    皆さんはどれに当てはまりそうですか
     噛み締めた時にかかる力60Kg (成人男性20-30歳は奥歯の平均)ですが、
    最大で約
    100Kgも力がかかる時があるそうです!!

     

     これだけ力がかかれば、いくら硬い歯でも削れていきそうですね・・・。

     

     場合によっては割れてしまうことも少なくはありません。
     歯が割れてしまうと場所にもよりますが、抜歯になる可能性が高くなります。

     

     またそれだけの力をかけるために収縮している筋肉も疲れて、
    こったり筋肉痛にもなります。

     

     歯ぎしりとストレス


    歯ぎしりは意図して行なっているものではなく、無意識下にやっていることがほとんどです。
    それでは歯ぎしりは病気なのでしょうか?

    実は歯ぎしりはストレス解消法の一つで、それ自体を止めることは難しいです。
     歯ぎしり、食いしばりから派生する問題として、顎関節症があります。

     顎周りが痛くなったり、お口が開きにくくなったりなど症状が当てはまります。
    顎関節症について 顎関節症で悩んでいる方には

     ・日中はなるべく力を抜く

    ・舌先がどこにあるか意識する

    (食いしばっている時の多くは舌先が下顎の前歯についていることが多いです。
    上顎前歯と口蓋のあたりにあることが理想です。
    )

    ・ナイトガードをする

     上記のようなお話しをさせていただくことが多いです。

     また場合によっては歯並びや咬み合わせの関係が悪く、顎関節症状が出る方もいらっしゃいます。

     先ほどもお伝えしたように歯ぎしりはストレス解消法の一つ、人間には必要なことです。

     つまり正しい噛み合わせで、
    下顎を誘導してあげることで歯や顎に負担をかけないようにすることがポイントになります。

     正しい噛み合わせにするには矯正治療をするか、被せ物など補綴物で対応することになります。

     歯の並び方にガタガタが大きくなくても、
    噛み合わせが深かったり逆に開口気味だったりすると顎関節へ負担がかかっていることがあります。

    今回のセミナーでは自分の口腔内のことをよく知ることができました。
     私はクレンチングしかしてないと思っていましたが、
    グライディングもしていて、特に右側に大きくふれていました。

     長く自分の歯でご飯を食べるためにナイトガードも頑張ってつけていきたいと思います!

    自分がどのような状態にあるのか気になる方はぜひ一度クリニックまでお越しください。
    ご予約はこちらからぜひお待ちしております! 😀 

     

     参考文献 厚生労働省 e-ヘルスネット 歯ぎしり 日本顎関節症学会
    顎関節症治療の指針2018