• 矯正治療で使用するワイヤーについて

    投稿者:clover

    こんにちは!
    歯科医師の渡辺です 😀

    5月も矯正のセミナーに行ってきました。

    矯正 診断 矯正セミナー

    前回は診断の仕方を勉強しましたが、今回は座学の他に、実際にワイヤーを曲げてきました。
    今回のブログでは矯正の際に使うワイヤーについてお話しをしていきます。

     

    矯正治療の仕組み

     

    歯にブラケットを装着し、スロットの中にワイヤーをはめこみます。
    ワイヤーが元に戻ろうとする力が歯にかかることで、歯を動かしていきます。

    つまりワイヤーを理想の歯並びに曲げられる必要がありますね。
    ワイヤーでかける力は強ければ良いというわけではありません。
    歯を支えている骨(歯槽骨)が吸収と添加を繰り返すことで、歯を動かしていきます。
    このバランスが悪ければ、むしろ歯の動くスピードは遅くなります。

     

    ワイヤーの種類

    矯正で使うワイヤーはいくつか種類がありますがそれぞれどんな特徴があるのでしょうか。
    材質、太さ、形、色に分けて説明していきますね。

     

    材質の違い

    ニッケルチタンワイヤー
    矯正治療 ニッケルチタンワイヤー ワイヤーの種類

    超弾性と形状記憶という特徴がありますが、
    このワイヤーの良いところは弱い力が持続的に働くことです。
    つまり先ほど説明をした強すぎない力をかけ、
    歯を動かすスピードを適度にすることができます。
    また、いきなり強い力がかかると痛みが強く出やすいので、

    主に矯正治療を始めた頃に使っていきます

     

    ステンレススチールワイヤー
    矯正治療 ステンレススチールワイヤー ワイヤーの種類

    ニッケルチタンに比べると硬く、たわみにくいため大きな力がかかりやすいです。
    一般的にはある程度歯並びが整ってから使われることが多いです
    大きな力が働けば早く歯が動いて早く歯並びが良くなると思うかもしれませんが、
    過剰な力は歯の周囲組織がダメージを受け、かえって動きが遅くなる場合があります。
    適切なタイミングで使う必要がありますね。

    ゴムメタルワイヤー(β系チタン合金)

    低弾性率で強度が強い、つまり柔らかいのに強い力を発揮するワイヤーになります。
    ゴムのような金属ということでこの名前になったそうです。

    ニッケルチタンとステンレススチールワイヤーの良いとこどりですね。

    正直ぱっと見は3つとも同じように見えます 😀

    見た目だけではわかりにくいですが、
    実際に曲げてみると同じ太さのワイヤーでも曲げた時の触感に違いがあります。

    治療の段階によって適切なワイヤーを選び、
    状況に合わせて曲げていくことが重要なんですね。

    このうち私達のクリニックで主に使われているのは
    ニッケルチタンワイヤーとゴムメタルワイヤーです

    矯正相談の際にでも気になる方はぜひ声をかけてみて、実際に触ってみてください。

     

    形の違い

    次にワイヤーの断面図に注目をしていきます。
    実は丸いものと四角いものがあります。

    使うタイミングは様々ですが、
    丸いものを初期に使い、後に四角いものを使うことが多いです。

    四角いものは長方形の形をしていて、私たちのクリニックでは
    16×22、17×25の2種類があります。
    四角いワイヤーは歯の軸を回転する(トルク)ことができます。

    また太さも分かれていて、
    012、014、016、018と順に太くなっていきます。

    太くなるほど力は強くかかり、痛みが生じやすくなるため
    矯正を始めたばかりの時は細い012から使うことが多いです。

     

    緑幸会でご用意があるのは銀色のメタルワイヤーと白色のホワイトワイヤーです。

    ホワイトワイヤーはノーマルな金属ワイヤーに白色のコーティングがしてありますが、
    白いコーティングも装着していると剥げてきて下地の銀色が見えてしまう場合が多いです。

    また治療が進むと白コーティングのない銀ワイヤーを使う段階が出てきます。

    このように様々な種類のワイヤーがありますが、

    治療の段階によって交換したり、曲げることで歯に力をかけて動かしていきます。

    月に1度は来院していただく理由としては、患者様の歯の動きやすさを確認したり、
    その時の歯並びに適した力をかける必要があるからです。

    歯科医師で口腔内を観察し、必要な力を見極めているんですね。

     

    最後に

     

    ここまでワイヤーの種類について説明をしてきましたが、
    次回はワイヤーベンディングについてお話し致します。

    アーチ型のワイヤーをはめるだけではなかなか理想的な歯列にはなりにくいです。
    ある程度矯正治療が進むとワイヤーの形を曲げて微調整が必要になってきます。
    入れたワイヤーの形に歯が動くので、ワイヤーベンディングはとても重要になります。

    余計な力がワイヤーにかからないよう、
    曲げるためにはプライヤーという器具を使っていきます。

    プライヤーにも様々な形があり、それぞれ用途があります。
    実は先端の形が違いがあるんですよね 🙂
    ワイヤーベンディング プライヤー 矯正のワイヤーを曲げる

    今回のセミナーでもクリニックからいくつか借りていきました。
    プライヤーでワイヤーを掴んで指で曲げていきます。

    3次元的に曲げていくことで歯を自由に動かしていきます。

    何個も作っていると指が痛くなってきますね。

    これは職人芸のようなもので、理解はもちろんですが、
    ベンディングの練習が必要になります。

    全8回のセミナーも半分が終わりました!

    もう一度復習をして、しっかり日頃の治療に活かしていきたいと思います。

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