こんにちは歯科医師の内田です。
最近よく質問いただくのが「歯が一回すごく痛かったけど我慢していたら落ち着いた。これって治ったということですか?」といった質問です。
この一文章だけでは確定した判断はできませんが基本的にはそのままにせず歯医者さんに行った方がよいことが多いです。
今回はこの一文から考えうる歯の中の状態についてご説明いたします。
この記事では
・虫歯のメカニズム
・歯の構造
・痛い虫歯と痛くない虫歯
・一度痛くなった虫歯は痛みが落ち着いても歯医者さんへ!
について説明しています。
まず歯が痛くなる代表的な原因として虫歯があります。
虫歯になると歯の表面に穴があきます。
健康な歯の図↓
次の図を見ると一番外側が黒くなっているのが分かりますよね。
この断面図上では一番外側の白いところがエナメル質といいます。この段階では痛みを感じないことが多いです。
穴が開いているところには汚れがたまりやすくなるのでこのまま放置していると次の段階に進みやすくなります。
次の段階はこちらです。
さらに真相のクリーム色の層まで黒くなってきています。
一番外側のエナメル質、その内側のクリーム色の層は象牙質といいます。
さらにその奥、オレンジ色で表されているところは歯髄と言っていわゆる歯の神経です。
歯の神経は血流でできていて、あごの骨からつながっています。
この状態、2層目の象牙質まで虫歯が進んでいると冷たいものや甘いものがしみることもありますが無症状の場合も多いです。
ここまでの層を虫歯の治療で削り取ると痛みが出ることが多いです。
また、一番外側の層、エナメル質よりも内側の象牙質はエナメル質に比べて柔らかく、虫歯の進行が速いとされています。
さらに虫歯の進行が進むと
この段階まで虫歯が進むと歯の神経である歯髄にまで虫歯が進行しています。
ひとつ前の段階と比べて明確な痛みが続くことが特徴です。咬んでも痛みがあったり、熱いものがしみたりします。何もしていなくても痛みがあることもあります。
痛みを放置すると虫歯菌が歯髄をおかして神経が死んでしんでしまうことがあります。
この状態が「一度痛みがあったのに我慢したら落ち着いた」という状態の多くに当てはまると思われます。
ここまで読んでいただいた方にはお分かりかと思いますが神経が死んでしまったという状態であり、何かが治ったわけではありません。
図より左側の神経の先には膿もたまっているので一度痛みがなくなってももう一度痛みが出る可能性や咬んだ時の痛みが出ることもあります。
また、そのまま長く放置し、歯が虫歯菌によってボロボロになってしますと歯が割れてしまうリスクも高まります。
「一度痛みがあったのに我慢したら落ち着いた」という症状だけではすべての人が当てはまるわけではありませんが痛みがあったときは痛みが落ち着いたとしても一度歯医者さんで診察することで安心できますよね。
口の中は自分ではよく見えませんので定期的な検診も大切になります。
歯医者に行くのはめんどうという方も多いと思いますが一度症状があった方はお早めに歯医者さんで相談されてはいかがでしょうか。