• お口の加齢変化について

    投稿者:clover

    こんにちは!
    歯科医師の市川です 😀

    今回はお口の加齢変化についてお話していこうと思います。

    歯の変化

    ①亀裂歯の表面を覆っているエナメル質は、硬くて脆いため亀裂が入りやすいです。

    ②知覚の低下歯の神経は象牙細管というストローのような管の中に入っています。
    加齢に伴い、その象牙細管が狭くなり、知覚が鈍くなります。

    ③根面う蝕歯茎がやせて歯の根っこが露出すると、
    根っこの表面に虫歯(根面う蝕)ができやすくなります。

    ④変色 歯の色は、歯の表面にあるエナメル質のすり減りや亀裂により透明度が減り、
    黄色や褐色に変化します。

    ⑤咬耗・摩耗
    咬耗とは、歯の噛み合う面がこすれて歯がすり減ることです。
    摩耗とは、歯ブラシなどの機械的な刺激によって歯がすり減ることです。

    ⑥くさび状欠損歯と歯茎の境目の歯質がえぐられた状態のことをいいます。
    長年の歯ブラシによる摩耗や歯ぎしりなどによって生じます。

    ⑦歯の喪失 歯の喪失の原因は主に歯周病、虫歯、破折(歯が割れること)などであり、
    65歳以上では歯周病が最も多いとされています。

     

    歯周組織

    歯周組織は歯を支える組織で、4つあります。

    ・セメント質

    ・歯根膜

    ・歯槽骨

    ・歯肉

    歯周組織 歯の断面 歯周組織の加齢変化

    歯周組織の加齢変化で共通することは、

    これらの組織に存在する様々な細胞の減少と形成能の低下があります。

     

    顎骨

    顎の骨は全身の骨と同様に、骨密度、骨量が加齢とともに減少します。
    顎骨の形態は歯の有無に大きく影響を受け、歯の喪失により骨が吸収します。
    そして、歯周病により歯槽骨(歯を支えている骨)は破壊され、
    入れ歯による慢性的な刺激は骨の吸収を促進します。

     

    顎関節

    顎の関節は以下の6つの組織から構成されており、
    歯の喪失や咬み合わせの変化による影響と生理的な形態変化が生じます。

    ・関節窩
    ・関節結節
    ・下顎頭
    ・関節靭帯
    ・関節包
    ・関節円板

    高齢になるとこれらの組織が形態的に変化し、
    顎の位置が不安定になったり、開閉口時に雑音などが生じたりします。

     

    口腔周囲

    筋神経系や感覚器系の加齢に伴う変化のために、
    筋の協調性が低下し、咀嚼(食べ物を飲み込めるようにかみ砕くこと)機能や
    嚥下(飲み込むこと)機能が低下します。

     

    唾液

    安静時に分泌される唾液の量は加齢により減少します。
    唾液分泌量の減少は口腔乾燥を招き、咀嚼、嚥下、構音(発音)などの機能が低下します。

     

    顔貌

     

    皮膚の老化、表情筋や皮下組織の委縮、皮下組織の支持力低下などの影響により、
    頬の皮膚や口角が下垂し、ほうれい線が明瞭になります。

    また、リップサポート(前歯によって上の唇を支持すること)と
    咬み合わせの喪失により、ほうれい線が深く際立ち、
    下あごが突出したようにみえてきます。

    これを老人様顔貌といいます。

    摂食嚥下機能

     

    摂食嚥下とは、
    食べ物を認識→口に運ぶ→噛む→飲み込む→胃へ運ぶまでの一連の流れのことを言います。

    その摂食嚥下機能の低下に影響する要因としては、
    ・味覚の低下
    ・歯の喪失や合わない入れ歯による咀嚼能力の低下
    ・唇、頬、舌などの機能低下・唾液の減少(口腔乾燥)
    ・飲み込む反射機能の低下
    ・服薬の副作用
    ・疾患

    などが挙げられます。

    いかがだったでしょうか。
    意外と知られていないことも多かったかと思います。

    特に摂食嚥下に関しては、悩まれている方が増えてきています。

    検査、トレーニング方法がありますので、また別の機会にお話していこうと思います。

     

    御相談など気になる事がございましたら是非御来院ください。
    24時間受付のWEB予約はこちらからどうぞ!!

    〈参考文献〉・老年歯科医学 医歯薬出版株式会社・摂食・嚥下リハビリテーション学 医歯薬出版株式会社

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