口内炎と口腔癌
こんにちは!歯科医師の市川です 😀
暑い日が続いておりますが、みなさんいかかがお過ごしでしょうか。
私は夏になると口の中に口内炎ができやすくなります。
夏バテによる免疫力の低下と栄養不足が原因だと思われます。
野菜や果物などのビタミンもしっかりとって暑い夏を乗り切ろうと思います。
そこで今回は口内炎についてお話したいと思います。
また近年、口内炎と口腔癌の違いについて注目されることが増えたので
そちらについても説明していきたいと思います。
☆口内炎とは
口内炎は口の中の粘膜に起こる炎症のことです。
口内炎にはいくつか種類があり、原因や特徴が少し異なります。
最もよく見られるのは、「アフタ性口内炎」というものです。
・アフタ性口内炎
はっきりとした原因はわかっていませんが、
過労、精神的ストレス、胃腸障害、ビタミン不足などが考えられています。
見た目の特徴としては、白い円形のくぼみができ、
その周囲は少し赤みを帯びています。
大きさは直径2~10㎜程です。
・カタル性口内炎
矯正器具や入れ歯による粘膜への物理的刺激、
熱い飲み物や食べ物による火傷などが原因でできます。
・ウイルス性口内炎
単純性ヘルペスウイルスの感染によって引き起こされます。
・カンジダ性口内炎
口の中に常在しているカンジダ菌が過剰に増えることによって引き起こされます。
口内炎の治療法としては、
副腎皮質ステロイド薬含有の軟膏(ex.アフタゾロン)、
貼付薬(ex.アフタッチ)、
噴霧薬、
レーザー
などがあります。
また、ウイルス性の場合は
抗ウイルス薬、
カンジダ性の場合は
抗真菌薬が用いられます。
☆口腔癌
口腔癌は口腔の粘膜から発生した悪性腫瘍のことで、以下の癌の総称を言います。
・舌癌
舌の裏側や縁にできやすく、舌表面にはあまり見られません。
口腔癌の中で最も多くを占めています。
・歯肉癌
上下の歯茎にできます。
舌癌に次いで二番目に多いです。
・頬粘膜癌
頬の内側の粘膜にできます。
・口腔底癌
舌と舌の裏側の歯茎の間にあるくぼみの部分が口腔底と呼ばれるところで、
そこにできます。
・口唇癌
唇にできます。
下唇にできることが多いです。
口腔癌の原因は不明とされていますが、
喫煙、
飲酒、
ウイルス感染、
機械的刺激(合ってない入れ歯、被せ物、詰め物などによる粘膜への刺激)
などが危険因子として挙げられます。
治療法は主に外科療法ですが、放射線治療や化学療法も用いられており、
それぞれ組み合わせて治療することもあります。
早期癌であれば外科療法や放射線治療、
進行癌であれば外科療法→術後に化学放射線治療、
分子標的薬併用放射線療法を行うのが一般的です。
☆口内炎と口腔癌の違い
①口内炎の場合は数日~10日程で自然に治ります。
2週間以上経っても自然に治らない場合、口腔癌や他の粘膜疾患の可能性があります。
②口内炎は食べ物などが触れるとヒリヒリとした痛みがありますが、
口腔癌の初期は痛みがありません。
③口内炎は潰瘍といって白い円形のくぼみができ、その周囲が赤みを帯びている状態になります。
健康な粘膜との境目が明瞭です。
しかし、口腔癌の場合は凸凹としたしこりがあったり、出血、健康な粘膜との境目が不明瞭だったりします。
いかがだったでしょうか。
口内炎と口腔癌の違いについて少しでも知っておくことにより、
早期発見・早期治療につながります。
しかし自分ではなかなか判断が難しいかと思います。
少しでもわからないことや不安なことがあれば、気軽にご相談ください 😀
〈参考文献〉・第4版SIMPLE TEXT口腔外科の疾患と治療 永末書店・口腔内科学 永末書店
・口腔がん:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)